子ども中心の面会交流

こころの発達臨床・裁判実務・法学研究・面会支援の領域から考える
本体 ¥ 3,400
¥ 3,740 税込

著者:梶村太市・長谷川京子/編著
判型:A5判
ページ数:384頁
発刊年月:2015年4月刊
ISBN/ISSN:9784817842244
商品番号:40583
略号:子中

商品情報



立場や見解の異なる各分野スペシャリト18名が 執筆
面会交流の原則実施 の問題点・課題点に鋭く切り込む


【児童精神科医、臨床心理士、研究者、弁護士、元裁判官が、面会交流の現状を問う】

・面会交流原則的実施政策の問題点 … 長谷川京子(弁護士)
・子どもの本音・声を歪めない面会交流とは?─乳幼児精神保健学からの警鐘─ … 渡辺久子(乳幼児・児童思春期精神科医)
・DVと離婚,子どものトラウマへの配慮と面会交流 … 田中究(児童精神科医・兵庫県立光風病院院長)
・片親引離し症候群PASと片親引離しPA─研究レビュー─ … ジョアン・S・マイヤー(弁護士/ジョージワシントン大学法科大学院特任教授)
訳・監修 髙橋睦子(吉備国際大学大学院社会福祉学研究科教授)
・児童虐待(不適切な養育)に陥った親と児童との面会交流の実情について … 岩佐嘉彦(弁護士)
・離婚後の親子の交流と親権・監護・親責任 … 小川富之(福岡大学法科大学院教授)
・DV・児童虐待からみた面会交流原則的実施論の課題 … 水野紀子(東北大学法学研究科教授)
・臨床心理士,面会交流援助者からみた面会交流原則実施論 … 山口惠美子(公益社団法人家庭問題情報センター常務理事/臨床心理士)
・心理学的知見の教条化を排した実務運用はどうあるべきか─子ども中心の面会交流の背景を踏まえて─ … 渡辺義弘(弁護士)
・原則実施論の問題点 … 斉藤秀樹(弁護士)
・面会交流をめぐる家裁実務の問題点─調査官調査の可視化を中心に─ … 可児康則(弁護士)
・取り残される子どもの気持ち … 安部朋美(弁護士)
・弁護士代理人からみた面会交流実施の問題点について─「子ども中心」とは何か,原則実施論の条件作り─ … 西片和代(弁護士)
・DVと面会交流 … 秀嶋ゆかり(弁護士)
・原則的面会交流論の問題性─元裁判官の立場から─ … 坂梨喬(弁護士/元福岡家庭裁判所・地方裁判所判事部総括)
・面会交流調停・審判の運用はどのようになされるべきか─やや随想的に(元裁判官の感想的意見)─ … 森野俊彦(弁護士/龍谷大学法科大学院特任教授/元福岡高等裁判所部総括判事)
・家事紛争解決プログラムの意義─面会交流原則論とは何か─ … 大塚正之(弁護士/早稲田大学法学学術院招聘研究員/元千葉家庭裁判所判事)
・第三者機関の関与と面会要領の詳細化の諸問題─平成25年の二つの東京高裁面会交流決定をめぐって─ … 梶村太市(弁護士/常葉大学法学部教授/元横浜家庭裁判所部総括判事)
座談会 面会交流は原則的に実施できるのか



目次

第1章 長谷川京子
面会交流原則的実施政策の問題点
第1 子どもの幸せのための面会交流
第2 離婚に至る家庭の子どもの否定的な体験──父母の争い・暴力の被害と目撃
第3 面会交流が子どもの福祉にかなうための要件
第4 裁判に持ち込まれる事案 
第5 原則的実施政策が子ども・監護親・非監護親の関係にもたらす結果
第6 先進国の経験 
第7 おわりに 

第2章 渡辺久子
子どもの本音・声を歪めない面会交流とは?
─乳幼児精神保健学からの警鐘─
第1 離婚にいたる子どもの否定的体験 
第2 子どもが面会交流を拒否するとき 
第3 家庭裁判所におけるドメスティックバイオレンス(DV)への対応
第4 子ども中心の面会交流のために 34
おわりに

第3章 田中究
DVと離婚,子どものトラウマへの配慮と面会交流
第1 はじめに 
第2 事 例 
第3 子どものトラウマ関連障害に関する診断基準
第4 トラウマ体験の子どもへの影響 
第5 まとめ 

第4章 ジョアン・S・マイヤー(Joan S. Meier)
訳・監修 髙橋睦子
片親引離し症候群PASと片親引離しPA
─研究レビュー─
第1 片親引離し症候群・PAS
第2 片親引離し・PA
第3 PA・PASと裁判所の判断 
第4 片親引離し・PAとDVのつながり─ PAのパラダイムの逆転 
第5 専門機関や専門家とPAS・PA 
第6 訴訟当事者にとっての戦略的課題─ 具体的な事例において
第7 「片親引離し」(PA)の主張への対処:虐待を看過しないアプローチ

第5章 岩佐嘉彦
児童虐待(不適切な養育)に陥った親と児童との面会交流の実情について
第1 児童虐待ケースと親子の関係性について 
第2 面会交流の制限が問題となる場面
第3 親子が分離されている場合の面会交流の制限について
第4 面会通信制限の要件について
第5 児童福祉の対応からみたいわゆる「原則面会」論の問題点

第6章 小川富之
離婚後の親子の交流と親権・監護・親責任
第1 はじめに
第2 諸外国における別居・離婚後の子の養育について
第3 日本の制度を考える上で必要なことは 
第4 おわりに

第7章 水野紀子
DV・児童虐待からみた面会交流原則的実施論の課題
第1 日本家族法と家庭内暴力 
第2 家庭内暴力と親権の行方─最高裁判例に現れたDVケース─
第3 子の奪い合い紛争への介入の難しさ
第4 介入の手段と方向性 

第8章 山口惠美子
臨床心理士,面会交流援助者からみた面会交流原則実施論
第1 はじめに 
第2 援助現場における最近の状況 
第3 子ども中心の面会交流実現のための民間機関の実践 
第4 課題と展望

第9章 渡辺義弘
心理学的知見の教条化を排した実務運用はどうあるべきか
─子ども中心の面会交流の背景を踏まえて─
第1 はじめに
第2 紛争の実質と原則的実施論の出現
第3 原則的実施論の理念把握の核心─その心理学的知見─
第4 原則的実施論の方針の核心─一元的な特段事情の苛酷な絞り込み─ 
第5 関連する諸問題 
第6 結びに代えて─裁判所自身による再検討と追跡調査を─ 

第10章 斉藤秀樹
原則実施論の問題点
第1 序 論 
第2 面会交流原則実施論の問題点(理論面) 
第3 原則実施論の弊害
第4 非監護親へのメッセージ 

第11章 可児康則
面会交流をめぐる家裁実務の問題点
─調査官調査の可視化を中心に─
第1 はじめに 
第2 DV事案につき原則的実施論に基づき解決を図ることの危険
第3 家庭裁判所調査官による調査の可視化の必要性
第4 おわりに

第12章 安部朋美
取り残される子どもの気持ち
第1 面会交流は誰のため? 
第2 子どもの意思は尊重しなくていいのか? 
第3 面会交流を円滑に実施するためには 
第4 面会交流義務とは?
第5 面会交流は子どもの健全育成のためのものである

第13章 西片和代
弁護士代理人からみた面会交流実施の問題点について
─「子ども中心」とは何か,原則実施論の条件作り─
第1 原則実施論における「事情」の考慮 
第2 原則実施論が妥当する「時期」かどうか,紛争段階の見極め
第3 原則実施論が妥当する「目的」による申立てか否かの見極め(特にDV事案)
第4 子どもを中心としてニーズを捉えること 
第5 事後的な検証可能性の確保 
第6 最後に 

第14章 秀嶋ゆかり
DVと面会交流
第1 はじめに 
第2 DV事案と面会交流(総論) 
第3 DVと面会交流(各論)

第15章 坂梨喬
原則的面会交流論の問題性
─元裁判官の立場から─
第1 原則的面会交流論とは何か 
第2 原則的面会交流論のどこが問題なのか 
第3 面会交流請求権の権利性 
第4 家庭裁判所と原則的面会交流論 

第16章 森野俊彦
面会交流調停・審判の運用はどのようになされるべきか
─やや随想的に(元裁判官の感想的意見)─
第1 はじめに 
第2 面会交流権は実体的権利か 
第3 「面会交流は原則的になされるべきである」か,どうか 
第4 面会交流調停事件の運用について
第5 面会交流審判事件の運用について 

第17章 大塚正之
家事紛争解決プログラムの意義
─面会交流原則論とは何か─
第1 はじめに
第2 臨床法学としての家事紛争解決プログラム
第3 面会交流原則論の意味
第4 面会交流を困難にする要因分析
第5 面会交流を妨げる要因を除去する方法 
第6 面会交流合意形成システムの構築
第7 まとめ 

第18章 梶村太市
第三者機関の関与と面会要領の詳細化の諸問題
─平成25年の二つの東京高裁面会交流決定をめぐって─
はじめに
第1 東京高決平成25年6月25日(第一決定) 
第2 東京高決平成25年7月3日(第二決定) 
第3 両決定の問題点 

座談会 面会交流は原則的に実施できるのか

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