実務事例 会計不正と粉飾決算の発見と調査

本体 ¥ 3,400
¥ 3,740 税込

著者:松澤綜合会計事務所/編著
判型:A5判
ページ数:380頁
発刊年月:2017年7月刊
ISBN/ISSN:9784817844101
商品番号:40684
略号:会粉

商品情報

――会計不正と戦う全ての方へ――
豊富な経験を持つ著者が、実話をもとに、
会計不正の手口や発見のヒントを具体的に解説!

【筆者らが自ら経験した会計不正事例をもとに執筆!】
・第三者委員会等が作成し公表されている報告書事例の解説や論評に終始した、「後出しじゃんけん」のような内容ではない。
・「懐疑心の保持が重要だ」等の精神論的な内容のものではない。
・Q&Aと称して様々な書籍をコピー&ペーストしただけの書籍とは異なる。
・生きた事例をもとに、会計不正発覚前の投融資元担当者の融資実行段階の状況、会計監査人の監査意見形成段階の状況などと同じ視点・目線で民間調査に意味のあることを記載。

【強制調査権限を持たないからこそ身に付いたノウハウを惜しみなく披露!】
・投融資元担当者の融資実行段階や会計監査人の監査意見形成段階の苦悩・課題・判断を理解して記載。
・強制調査権限なしで実践できる会計不正や粉飾決算の発見や調査方法を多数紹介。

【想定読者】
◆事業会社・金融機関など
□経営者など(経営者・社外役員・監査役・理事・監事)
□内部監査担当者・広報担当者
□法務コンプライアンス担当者・人事担当者
□子会社・関係会社管理担当者
□投融資先を選定管理する担当者
□金融機関の投融資担当者・審査担当者

◆専門家など
□弁護士・司法書士等の実務家
□M&A実施前にデューデリジェンスを実施する専門家
□会計監査人・顧問弁護士・顧問税理士

【著者紹介】
松澤綜合会計事務所代表 松澤 公貴
公認会計士、税理士、行政書士、日本証券アナリスト協会検定会員、公認不正検査士、登録政治資金監査人
 長年にわたり第三者委員、外部調査委員及び委員補佐を含む不正調査業務を経験し、案件数は500 件を超え、不正関与者へのインタビューは2,000人にも及ぶ。特に、粉飾決算、資産横領、コンプライアンス違反(インサイダー取引、情報漏えい、反社会的勢力との取引、贈収賄、カルテル)等の不正調査業務に関しては相当数の経験がありフォレンジック会計士と呼ばれている。
当該業務以外にも会計監査、M&A、事業・企業再編時等におけるデューデリジェンス、株式価値評価、内部監査、IPO支援業務等の多数で多様なコンサルティング経験がある。
 現在、公認会計士協会に設置されている経営研究調査会の「不正調査専門部会」において専門部会長に就任しており、「不正調査ガイドライン」の作成に関与している。

目次

第1章 会計不正を発見できない理由を探る

第1 会計不正の特性を知る
1 会計と不正の領域の理解
事例紹介1 情報通信業
事例紹介2 製造業
事例紹介3 企業全般
(1) 認識と測定
事例紹介4 企業全般
(2) 会計上の見積り
(3) 企業会計と不正の目的
2 会計不正の被害状況
3 手口の存在
4 統計等から会計不正の特性を理解する
【企業担当者の対応状況1】
(1) 上場企業の会計不正の公表
(2) 会計不正の類型のトレンド
(3) 粉飾決算の手口のトレンド
(4) 業種別トレンド
(5) 上場市場別トレンド
(6) 所在地別トレンド
(7) 監査法人別トレンド
(8) 上場年数別トレンド
(9) 会計不正の発覚経路
(10) 不正実行者及び主体的関与者
(11) 不正調査の実施体制のトレンド
(12) 会計不正による損害額
5 粉飾決算の一般的手口と類型
(1) 収益の操作
事例紹介5 建設業  
(2) 費用の操作
事例紹介6 企業全般  
事例紹介7 企業全般  
事例紹介8 企業全般  
事例紹介9 製造業  
事例紹介10 企業全般  
事例紹介11 企業全般  
事例紹介12 学術業  
事例紹介13 出版業  
(3) 資産の操作
事例紹介14 卸売業  
事例紹介15 金融業  
事例紹介16 小売業  
(4) 不適切な情報開示及びその他の操作

第2 不正調査における都市伝説と不正発見のヒント
1 全てが詳らかになるインタビューテクニック
(1) 質問の種類
(2) 効果的な手順
(3) インタビューにおける心得7ヵ条
失敗事例1 企業全般  
2 会っただけで不正をしているか否かを判断できる
(1) 誠実な人が不正を働く
(2) 適正意見の効力
3 魔法のチェックリストが存在する
(1) 不正のトライアングルと使用方法
(2) 犯罪学のトレンド
4 懐疑心の保持により不正を発見できる
5 決算書を眺めると会計不正の有無が判別できる
(1) 分析の基礎
(2) ハイレベル分析(High level analysis)
(3) 論理的分析(Logical analysis)
(4) 比較分析(Comparative analysis)
【企業担当者の対応状況2】
(5) 予測分析(Predictive analysis)
(6) 定性分析
事例紹介17 企業全般  
(7) 財務分析のポイント
(8) 財務調査の実施や専門家の利用
6 ITを活用すると粉飾決算が発見できる
失敗事例2 企業全般  
失敗事例3 製造業  
失敗事例4 企業全般  
失敗事例5 企業全般  
失敗事例6 企業全般  
失敗事例7 企業全般  
7 「手口」は年々巧妙化している

第2章 フォレンジック会計士が遭遇した会計不正の事例考察

第1 水産ビジネスに潜む罠
●水産業グループW社の事例  
1 会計不正の看過と問題点
2 循環取引の特徴
(1) スルー取引
(2) クロス取引・バーター取引
(3) Uターン取引・まわし取引
【循環取引を利用した会計不正例】
  
第2 新規事業に手を出した老舗企業に潜む罠
●事務機器メーカーAKD社の事例  
1 経営者による説明
2 会計不正の看過と問題点
【親会社又は本業と異なる業種で生じた会計不正例】

第3 長期請負ビジネスに潜む罠
●建設業BKB社の事例  
1 会計不正の看過と問題点
2 建設業の特徴
【建設業における会計不正例】

第4 小売業に潜む罠
●PC周辺機器販売業SX社の事例 
1 経営者による説明
2 会計不正の看過と問題点
3 小売業の会計不正の特徴
【小売業における会計不正例】

第5 グループ会社取引に潜む罠
●ソフトウェア開発会社AC社の事例
1 経営者による説明
2 会計不正の看過と問題点
【子会社等を利用した会計不正例】
 
第6 偽装された売上と贈賄に潜む罠
●製薬会社LM社の事例
1 汚職行為の類型と手口
2 会計不正の看過と問題点
3 手口の違いにみる発見の端緒

第7 補助金に潜む罠
●私立大学XV学校法人の事例
1 学校法人の財務報告等
2 会計不正の看過と問題点
【学校法人における会計不正例】
 
第8 入札に依存した事業に潜む罠
●清掃業VX社の事例  
1 入札参加資格
2 会計不正の発生要因

第9 サプライチェーンのグローバル化に潜む罠
●輸入商材加工業CPB社の事例 
1 会計不正の手口
2 金融機関の対応
3 サプライチェーンのグローバル化による会計不正リスク
4 調達(購買)不正とその兆候
【調達(購買)不正における会計不正例】
5 製造不正とその兆候
【製造不正における会計不正例】
6 製造不正の手口を考慮した原価管理
(1) 不正対応工程管理
(2) 不正対応文書管理
(3) 不正対応在庫管理
(4) 不正対応人的資源管理
7 流通不正とその兆候
(1) 不正対応受注管理
(2) 不正対応物流・配送・クレーム管理
(3) 不正対応請求管理
【企業担当者の対応状況3】
  
第10 予算達成に取りつかれた子会社社長に潜む罠
●グローバル製造業IK社の事例
1 会計不正の看過と問題点
(1) 親会社による監視不足
(2) 人材不足
(3) 期待ギャップ
2 計画予算の作成方法の検証
(1) トップダウン方式
(2) ボトムアップ方式
(3) 参加方式
3 子会社にて会計不正が発覚した場合の対処方法
(1) 子会社の経営者の目線
(2) 親会社の経営者の目線
(3) 親会社の関与の有無
(4) 執行当局間の連携
【子会社で発覚した不正・不祥事例】

第11 SNSに取りつかれたベンチャー社長に潜む罠
●物品レンタル業OM社の事例
1 OM社のビジネスモデルの検討
2 会計不正の手口(振込人名の偽装)
3 リース・レンタル等の主な違い
【近年のベンチャー企業の会計不正例】
4 真の成長企業を見抜く
【企業担当者の対応状況4】

第12 パソコンの転売を日常化した子会社役員に潜む罠
●コールセンター業GCG社の事例
1 犯罪の概要
(1) 横領罪
(2) 業務上横領罪
(3) 背任罪
(4) 特別背任罪
2 役職員等の横領等がある場合の税務問題
(1) 横領行為等の発生の有無
(2) 横領行為等を隠蔽した事実
(3) 損害賠償請求権の確定の有無
3 横領行為等に係る損害賠償金の計上時期
4 役職員等が横領行為等から得た利得とその課税処理

第3章 会計不正の調査と対応
【会計不正発覚企業の失敗事例1】

第1 初動調査が重要
【会計不正発覚企業の失敗事例2】

第2 実態調査は仮説検証アプローチで
1 適格な情報を収集する
(1) 公開情報など
(2) 非公開情報の提供
(3) 容疑者等からの情報提供
2 アンケート調査を活用する
(1) アンケート実施要領の作成
(2) アンケート調査の挨拶文の工夫
(3) アンケート調査項目(What)
3 フォレンジックテクノロジーを活用する
4 調査範囲を検討する
5 効果的にインタビューを実施する
6 海外での会計不正は要注意

第3 要因分析を実施して是正措置へ
1 緊急対応
2 抜本対応

第4 報告の仕方で調査の印象が変わる

第5 調査報告書の記載例と調査手順の確認
1 表紙・宛先等
2 結果要約(Executive summary)
3 前提事項と背景情報(Background)
4 調査範囲・調査手続(Investigation Scope and Procedure)
5 調査結果(不正の手口╱Fraud Schemes)
6 調査結果(要因分析╱Fraud risk factor)
7 調査結果(関与者の特定)
8 是正措置(Corrective action)

第6 高くついた代償
(1) 破産か再生か
事例紹介18 製造業
事例紹介19 サービス業

第4章 再発防止策の実践

第1 経営者のコミットが土台創りに有効である
【企業経営者のコミット例】
【企業担当者の対応状況5】
【企業担当者の対応状況6】
(1) 経営者に率先してもらう
【企業担当者の対応状況7】

第2 部門横断的にプロジェクトチームを組成する
(1) 法務コンプライアンス担当部門
(2) 経理担当部門
(3) 内部監査担当部門
(4) 人事担当部門

第3 不正の定義とリスク評価を実施する
(1) 会計不正を定義する
【企業担当者の対応状況8】  
(2) 初期的リスク評価
【企業担当者の対応状況9】
(3) 継続的評価

第4 道標となる行動規範を策定する
(1) 有効な行動規範の条件
(2) 行動規範の作成手順
(3) 経営者のレビューポイント
【企業担当者の対応状況10】

第5 人事関連規程を改訂から教育へ
(1) 諸規程の改訂
【企業担当者の対応状況11】
(2) 人材育成・教育研修は怠らない
【企業担当者の対応状況12】
 
第6 手口を無効にする統制をデザインする

第7 取引先との共謀を回避する

第8 内部監査を工夫する
(1) 不正対策の浸透度を知る
(2) 内部監査の高度化

第9 通報制度の高度化を目指す
【企業担当者の対応状況13】
1 最低限必要な制度設計
2 継続的な周知
【企業担当者の対応状況14】
3 通報窓口の対応の向上

第10 監査役・監査委員を巻込む
【企業担当者の対応状況15】
1 経営者不正の不正リスク要因の察知
【会計不正発覚企業の失敗事例3】
2 取締役とのコミュニケーション強化
【企業担当者の対応状況16】
3 関係機関等からの情報入手及び連携強化

第11 来たるべき有事に備える
【企業担当者の対応状況17】

第5章 おわりに
●製パン業界AM社の異物混入事例
「どうやったら不正がなくなるか。」

巻末付録
事項索引
主な会計不正の類型(例示)
参考文献
著者及び執筆応援団

PAGE TOP