オープンイノベーション時代の技術法務

スタートアップの知財戦略とベストプラクティス
本体 ¥ 4,400
¥ 4,840 税込

著者:鮫島正洋/編集代表
判型:A5判
ページ数:392頁
発刊年月:2024年6月刊
ISBN/ISSN:9784817849649
商品番号:40993
略号:オープン

商品情報

知財戦略と契約実務をボーダレスにこなすには?
実践的なケーススタディを登載!

実務の流れで理解する18のスタートアップ成功事例

事例
スタートアップからの具体的な相談に基づき、様々なビジネスステージを想定した事例を収録!

会話
会話の流れで、各ビジネスステージに応じた知財戦略の立て方と契約実務の留意点が分かる!

ここでの考え方
場面ごとに「ここでの考え方」を示し、知っておくべき知財・法務の知識とポイントを解説!

技術法務のポイント
「技術法務のポイント」では、事例ごとの要諦、技術法務のエッセンスがすぐ分かる!


技術法務の思考プロセス・考え方がわかる!


【事例抜粋】
・顧客の技術や事業の方向性等を踏まえ,第三者との契約を見据えて,契約条件や特許出願の要否等を検討・提案した事例
・スタートアップの技術に関心を持っているが,下請け相手の契約書ひな形から離れられない大企業を相手に契約交渉をした事例
・大企業からスピンオフして創業するスタートアップ企業で,大企業から譲渡を受ける特許権を選定し,特許権保有態様及びVC からの投資契約を検討した事例
・非IT 系企業による新規IT サービス立ち上げを支援した事例
・生成AI モデルを利用したビジネスモデルの権利保護を検討した事例
・大学発スタートアップ企業で,大学から受けるライセンスの条件を検討し,ライセンス料の一部をストックオプションに置き換えた事例
・汎用性がある技術に関し多数のユーザー企業との共同開発を行うために,知的財産権の帰属,ライセンス条件等を整理した事例
・ソフトウェア・システムの不具合等に係る紛争に対応した事例
・ベンチャーキャピタル(VC)のニーズを踏まえてテック系スタートアップの知財DD を実施した事例

目次

第1章 オープンイノベーションの潮流と技術法務の進化
1 技術法務1.0(~2000年前半)
(1) クローズドイノベーションからオープンイノベーションへ
(2) 技術法務1.0(知財と法務のシームレス提供)
COLUMN 技術法務の生い立ち
2 技術法務2.0(~2014年)
(1) オープンイノベーションの進化
(2) 技術法務2.0(セオリの確立)
3 技術法務3.0(~2024年)
(1) オープンイノベーションの変容,デジタル技術の発展
(2) 技術法務3.0(プラクティスの深化,技術法務forX)
ア プラクティスの深化/イ 技術法務 forX9/ウ 小括
4 本書の目的

第2章 ケースに見る技術法務
事例1 知財を複合的に活用して長期的視点からデザインの保護を図る事例
1 意匠権による保護
2 商標権による保護
3 不正競争防止法による保護
4 著作権による保護の可能性

事例2 プラットフォーム型ビジネスを指向するバイオスタートアップについて,モデル開発と発明発掘及び契約書雛形の作成を,有機的一体的に行った事例
1 発明発掘を伴ったビジネスモデル開発
2 基本特許の取得
  特許出願の明細書の記載
3 実績がない状態での他社との技術検証研究
  共同研究開発契約と秘密情報
4 共同研究開発契約
  マイルストーンペイメント/ 競業避止条項

事例3 非IT 系企業による新規IT サービス立ち上げを支援した事例
1 自社サービスに関する著作権等の確保
(1) ソフトウェア委託契約において著作権の帰属を合意しておくことの重要性
  ソフトウェアの著作権
(2) 著作権の帰属に関する条項例
  契約書の定めと取引の実態
(3) 著作権の「共有」は妥当な落としどころなのか?
(4) ソースコードの扱いも明確に合意を
2 他社サービスの知的財産権を侵害しないために
(1) 他社サービスの「機能」に関する注意点
ア 著作権侵害について/ イ 特許権について
(2) 画面デザインについて
ア 著作権について/ イ 意匠権について

事例4 顧客の技術や事業の方向性等を踏まえ,第三者との契約を見据えて,契約条件や特許出願の要否等を検討・提案した事例
1 大企業との秘密保持契約に関する留意点
COLUMN 人工衛星の推進機の推進剤としての固体燃料
(1) 秘密保持契約における開示すべき秘密情報の範囲について
  ① 秘密保持契約における開示すべき秘密情報の範囲について
/ ② スタートアップ及び大企業間の秘密保持契約に関連する社会的問題について
(2) 秘密保持契約の競業避止条項について
  秘密保持契約における競業避止条項に関する考え方について
2 ライセンス契約を見据えた特許出願の要否等について
  特許出願するか否かについて /他社に対して当該発明をライセンスすることが想定される場合の特許出願及びそのタイミングについて/他社に対して当該発明をライセンスすることが想定される場合において侵害検出性がない場合について
/ 出願国の選定について
3 ライセンス契約に関する留意点
(1) ライセンスの範囲について
  ライセンス契約の範囲について
(2) ライセンシーが特許発明等を実施し続けることに対する対応策について
  改良技術の譲渡義務(assign back 条項)・ライセンス義務(grant back 条項)について
(3) ライセンス契約終了後にライセンシーが特許発明等を実施し続けることに対する対応策について
  契約終了後の対策について/ ノウハウの特定について

事例5 大企業からスピンオフして創業するスタートアップ企業で,大企業から譲渡を受ける特許権を選定し,特許権保有態様及びVC からの投資契約を検討した事例
1 大企業から譲渡を受ける特許権の確定
  特許権の譲渡とライセンス/ 知財戦略セオリに基づく特許選定
COLUMN 二軸マーケティング理論
2 大企業から譲渡を受けた特許の保有方法とライセンス契約
  上場基準 83 / 特許の実施権
3 出資者との間の投資契約
  投資契約の条項について

事例6 大学発スタートアップ企業で,大学から受けるライセンスの条件を検討し,ライセンス料の一部をストックオプションに置き換えた事例
1 大学からのライセンス条件の設定(1)
  ライセンス契約のロイヤリティとリスク回避
2 大学からのライセンス条件の設定(2)
  ロイヤリティの料率と定額払い
3 ロイヤリティの一部にストックオプションを充当する例
  ライセンス契約の対価と新株予約権
COLUMN 大学による大学発スタートアップ企業の新株予約権の取得/ 大学の「知」への価値付け(値付け)

事例7 特許出願のサポートと,共同研究開発契約のレビューを,有機的一体的に行った事例
1 共同研究開発契約前の情報開示の留意点
  情報を開示する前に秘密保持契約の締結
2 共同研究開発を行う際の情報管理の留意点
  情報管理
3 特許出願する際の留意点
  特許出願の形態/ 情報提供制度についての補足
4 クレームに関する留意点
  特許請求の範囲の記載案(クレーム案)の検討
5 成果等の帰属条項についての留意点
  成果及びこれに係る知的財産権の帰属

事例8 生成AI モデルを利用したビジネスモデルの権利保護を検討した事例
1 開発したAI モデルの帰属
  AI・データ取引に係る契約の特殊性/ 権利の対象となるAI・データの特定/ 契約とビジネスモデルの関係
2 生成AI モデルにおけるデータ利用と著作権
学習用データ及び入力データとしての著作物の利用/ 出力データとしての著作物の利用/ 著作権法に関するその他の問題
COLUMN 著作権法30条の4に関するオーバーライド条項の有効性
3 生成AI モデルを使ったビジネスモデルの特許保護
  ノウハウとは 127 / 本事例の生成AI モデルをノウハウ化するか,権利化するか/ 必須特許ポートフォリオ論/必須特許とは
4 利用規約
  利用規約とは/ 会社によるデータ利用条項/ 免責条項

事例9 スタートアップの技術に関心を持っているが,下請け相手の契約書ひな形から離れられない大企業を相手に契約交渉をした事例
1 他社との協業を検討する際の確認事項
2 秘密保持契約(NDA)案の確認
  基本的な契約条件の認識が異なる場合,契約書の修正作業の前に考えること
3 会社間の一次的な交渉結果
4 業務委託契約書のドラフト
  PoC 契約で押さえるポイント
5 共同研究開発の提案
6 共同研究開発契約書のドラフト
  共同研究開発契約における知的財産権の規定
7 共同研究開発契約書ドラフトの修正についての交渉へ向けて
  企業の契約交渉担当者に必要なこと

事例10 譲るだけではない開発委託契約における交渉の考え方を用いた事例
1 受託者側からみた開発委託契約書のチェックポイント
  共同開発契約と開発委託契約の違い(特に知的財産権の帰属について)
2 受託者側のカウンター案とその考え方
委託者(費用負担者)の支払う対価の額は,成果に係る知的財産権を単独帰属させるに適正であるかという視点
3 交渉のスタンス

事例11 汎用性がある技術に関し多数のユーザー企業との共同開発を行うために,知的財産権の帰属,ライセンス条件等を整理した事例
1 Win-Win の関係のデザイン
  フォアグラウンドIP に関する当事者間の利害調整
2 知的財産権の帰属の考え方
  フォアグラウンドIP を共有とすることの弊害/ 開発委託と共同開発について
3 情報のコンタミネーションについて
COLUMN 情報の受領リスク
4 競業避止義務について

事例12 企業が保有するIP について,未知のビジネスモデル(メタバース)における戦略的な活用を支援した事例
1 新たな技術・ビジネスモデルに関する法的リスクの分析・評価
COLUMN 「メタバース」とは?―新たな概念の定義
  新たなビジネスモデル等に関する法的リスクの評価手法
2 戦略的なIP の活用―n次創作市場の開拓を例に
  一億総クリエーター時代のIP ビジネス戦略
COLUMN ガイドライン vs 利用規約
3 ビジネスモデルにフィットした利用規約の作り方
  新たなビジネスモデル等に関する法的リスクとの付き合い方 

事例13 アジャイル・ガバナンス×新規事業創出におけるデータ利活用システムのデザインに関する事例
1 アジャイル・ガバナンスによるシステムデザイン
イノベーションを促進するガバナンス(Governance forInnovation)とアジャイル・ガバナンス
2 アジャイル・ガバナンスの実装
(1) インパクトの抽出(Ⅰ(b)):プライバシー
  プライバシー
(2) インパクトの抽出(Ⅰ(b)):ELSI
  ELSI(Ethical, Legal and Social Issues)
(3) インパクトの抽出(Ⅰ(b)):AI 及び透明性
  AI ×個人情報,プライバシー
(4) 既存データの活用
  顔動画データの取扱い
(5) 利用規約の作成
  同意のとり方とGovernance of Innovation

事例14 ソフトウェア・システムの不具合等に係る紛争に対応した事例
1 請負契約が成立しているか
2 開発すべき対象は何であるか
  仕様の重要性 227 / 請負と準委任
3 システム(成果物)が完成しているか
  成果物の完成の判断基準
4 成果物に契約不適合が生じているか
  成果物の契約不適合とは/ 契約不適合を指摘された場合の対処方法
5 契約不適合があったとして,相手方にどの程度の損害が生じていたか
  責任制限条項

事例15 商標・不正競争防止法における技術法務を活用した事例
1 商標登録出願の考え方
  「指定商品・役務」の選択
COLUMN 「区分」さえ異なれば,商標登録できるのか?―類似群コードについて
2 権利行使を視野に入れた商標登録出願
  登録商標の類否判断とそれを踏まえた出願 
3 商標をめぐる契約関係
  商標ライセンス契約特有の条文
4 模倣品に対する権利行使場面での留意点
  模倣品に対する請求 / 「商品等表示」の特定/ 特許実務に携わっているからこその強み

事例16 「台風発電」について,商標法3条1項3号の拒絶査定に対し,拒絶査定不服審判によって,登録に持ち込んだ事例
1 出願段階での会議
  商標法3条1項3号,3条2項について
2 審判段階での会議
  商標登録出願の流れ/ 裁判例などを用いた商標法3条1項3号の判断規範/ 商標法3条1項3号の非該当性を基礎づける主張立証活動
3 審判後の会議
  スタートアップこそ,魅力的な用語について商標登録にチャレンジを!

事例17 自社技術に加えて新たな技術を取り入れるために,出資を受けた事例
1 投資を受ける手順
2 投資を受けるに際しての当初の注意点
  独占禁止法上問題となる技術法務的な観点からの事例/ 独占禁止法上問題となるその他の事由
3 法務DD の手順
  法務DD の目的/ 法務DD において求められる資料
4 投資に関する契約等
  スタートアップ企業の資金調達の方式/ 種類株式/ 種類株式の発行による資金調達における決定事項及び必要な契約
COLUMN 知財 DD

事例18 ベンチャーキャピタル(VC)のニーズを踏まえてテック系スタートアップの知財DD を実施した事例
1 導入―VC にとってベストな知財DD とは?
  スタートアップの知財DD
2 まずは特許の整理から
(1) 特許権者の確認
  他者名義の特許の留意点
COLUMN 専用実施権
(2) 特許ファミリーの整理
  特許ファミリーの活用
COLUMN 国際出願と優先権/ 分割出願
(3) 特許のステータス(生死)の確認
  特許レビューの効率化
COLUMN 特許と期限/ 権利範囲と登録の見通し
3 特許の中身の確認
(1) 検討すべきクレームの絞り込み
  メインクレームの検討
(2) クレームを検討する際の3つの視点
① 事業との整合性
  特許と事業の関係
② 回避困難性
  発明のポイントと審査経過/ 「余計な限定」とその対処法/ 代替品による回避リスク
③ 侵害検出性
  侵害検出(証明)の容易性 / 知財DD の限界と,VC 担当者に期待される役割

第3章 技術法務の創る未来
対談1 スタートアップの0→1を支援×技術法務でビジネスを成功に導く
株式会社リバネス代表取締役グループCEO 丸 幸弘氏/ 執行役員CHO 長谷川 和宏氏×(聞き手)鮫島 正洋

対談2 特許を「使う」ことで事業に貢献―知財と法務のクロスオーバーが企業の競争力を向上させる
Green Earth Institute 株式会社代表取締役CEO 伊原 智人氏×(聞き手)鮫島 正洋/篠田 淳郎

対談3 スタートアップにおける事業領域の知財戦略
ファーストアカウンティング株式会社代表取締役社長 森 啓太郎氏×(聞き手)鮫島 正洋/梶井 啓順

対談4 ビジネスモデルに合わせた知財ポリシー・契約書で,企業の競争力が向上
マイクロ波化学株式会社代表取締役社長CEO 吉野 巌氏×(聞き手)鮫島 正洋/杉尾 雄一

対談5 日本から世界に羽ばたくスタートアップを育むには―投資家(VC)と技術法務の接点
株式会社Kips 代表取締役 國本 行彦氏×(聞き手)鮫島 正洋

対談6 知財・法務の観点から,スタートアップの有する価値を発掘し,世の中に送り出す
三井住友海上キャピタル株式会社投資開発パートナー 平井 宏明氏×(聞き手)高橋 正憲

対談7 大学発スタートアップの創出支援における知財・法務の重要性
北海道大学副理事・産学・地域協働推進機構特任教授・スタートアップ創出本部本部長土屋 努氏×(聞き手)高橋 正憲

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