戸籍法の一部を改正する法律の概要について
遠藤啓佑(法務省民事局民事第一課戸籍企画官兼局付)
は し が き
去る令和元年12月7日,日本出版クラブ会館(東京都千代田区)において「家族法・戸籍制度研究会」の第37回定例研究会が開催されました。今回の研究会では,法務省民事局民事第一課戸籍企画官兼局付の遠藤啓佑先生から「戸籍法の一部を改正する法律の概要について」と題する講演が行われました。
今回の講演におきまして遠藤先生は,去る令和元年5月24日に成立し,同月31日に公布された「戸籍法の一部を改正する法律」(令和元年法律第17号)について,法案の法務省の立案段階において,その主任を務められたご経験・ご見識から,改正経緯を踏まえて分かりやすく,概要のご解説をされました。
特に,この改正の大きなテーマの一つであるマイナンバー制度の戸籍事務への導入に関して,多くの時間を割いてお話され,マイナンバー制度と戸籍に関する情報連携のために,構築が進められている行政機関間の情報提供ネットワークシステムの概要やその運用の仕方等について,豊富な資料とともに分かりやすくご解説をされました。
さらに,新しいシステムが導入されることから期待される,具体的な戸籍事務の効率化・簡便化の内容や,重要な個人情報の保護の観点から設けられたセキュリティ関連の規定等々,今後の実務に欠かせない内容に関しても丁寧に解説しておられます。
本講演で行われた解説につきましては,ご講演後,本誌発刊までの間も,まさに該当条文の施行日に向けてその準備が着々と進められているところ,戸籍実務に携わっておられる方々をはじめとして,家庭裁判所の職員の方々,家族法及び戸籍制度の研究に当たっておられる方々にとっても裨益するところが少なくないと思われます。そこで,今回の戸籍時報特別増刊号においても,ご講演者をはじめ家族法・戸籍制度研究会のご了承を得て,その講演内容を掲載させていただくこととしました。
終わりに,本書の編集に際し「家族法・戸籍制度研究会」の格別のご配慮に対し,厚く御礼申し上げますとともに,本書が読者の方々のために多少でもお役に立てれば幸いです。
なお,読者の皆様には,「戸籍時報」及び同増刊号の編集について,今後ともいっそうのご指導,ご鞭撻をいただきますよう,お願い申し上げます。
令和2年4月
戸籍時報編集部