親子関係不存在確認裁判・再述
南 敏文(弁護士)
はしがき
現在,法制審議会では,嫡出推定及び嫡出否認の制度の改正を含め,親子法制の改正を目指して審議が進められており、 第2読を終了して年内に中間試案の作成をする運びであるとのことである 。
筆者は,平成17年6月25日に開催された家族法・戸籍制度研究会で,親子関係不存在確認裁判に関して発表したことがあり,その講演録は,本誌特別増刊号No.590で掲載されている。そこでは,嫡出推定及び嫡出否認の制度の概要やその問題点について解説を試み,また,立法論の私見を披露したがいよいよ,これらの制度の改正が俎上に乗ったわけである。
本稿では,この講演録について,その後の判例・先例等を踏まえて加筆訂正するとともに,法制審議会での議論を紹介した上で,これに対する私見を述べ,さらには, 新たな解釈論も試みることとした。毎年,6月と12月に同研究会が開催され,その成果を本誌特別増刊号により紹介されているが,令和2年6月の研究会は新型コロナウイル ス感染防止のため, やむなく中止となった。そこで,仮に,講演したとすればこのような講演録となったであろうと思われる体裁により,再述を試みることとした。皆様方から,ご批判を頂き,また,幅広い議論の展開がなされるきっかけとなれば,望外の幸せである。
令和2年9月
南 敏文