全訂第三版補訂 相続における戸籍の見方と登記手続
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されることになりました。また、相続登記申請にあたっては被相続人の出生から死亡までの間の相続人であることを証するための戸籍(除籍・改製原戸籍・現在戸籍等)の膨大な戸・徐籍謄本等の添附が必要とされていました。その手続のための右の謄本等の収集は相続人にとって相当の負担になっていること、また、相続の対象となるものは、土地建物等の不動産のほか、預金の払い戻し、保険金の受取りあるいは自動車の名義変更など多岐にわたることから、その手続の都度戸籍謄本等の収集が必要とされていました。例えば、不動産の相続手続においては相続が発生しても相続人がその登記手続をしないまま死亡し、次の相続が発生するという数次相続になっている場合、あるいは被相続人の死亡前にその相続人が死亡して代襲相続になっている場合等があります。これらの場合においては、登記記録からは所有者の把握が困難になります。このような不動産が近時増加しているといわれており、それが所有者不明の土地や空き家問題の原因ともされているようです。その一因とされている戸籍謄本等の収集の困難さを解消し相続登記手続を促進するため、その収集を一回で済ませ相続人の負担を軽減し、それを基にした法定相続情報一覧図の証明書を発行してその証明書が戸籍謄本等に代わるものとしたのが、「法定相続情報証明制度」であります。この「法定相続情報証明制度」は平成二九年法務省令第二〇号をもって不動産登記規則の一部を改正して創設されたものです。さらに「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(平成三〇年法律第七二号)及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(平成三〇年法律第七三号)が平成三〇年七月一三日に公布されました。また、民法の「相続」の規定中に配偶者居住権という新たな権利を創設し、同法第九〇三条に相続人配偶者の特別受益権の優遇規定が    全訂第三版補訂の刊行について  18

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