全訂第三版補訂 相続における戸籍の見方と登記手続
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わが国における相続制度は、明治三一年民法施行下の戸主の地位とともに家産を承継する家督相続と、家族たる者の有した遺産の相続という二本建であったが、昭和二二年五月三日新憲法が施行されてからは、家の制度の廃止に伴い家督相続制度も廃止され、すべての者が死亡のみを原因とする遺産の相続制度に一元化されている。これらのかつての家督相続、遺産相続、また今日の遺産相続のいずれにおいても、相続人となるべき者は、被相続人との親族関係の親近の度合いに応じてその資格が付与されている。ところで、相続事件を処理するについて、旧法当時に開始した相続であれば旧法(親族法・相続法)に照らし家督相続人又は遺産相続人を認定することになる。もし、旧法によって戸主の家督相続人の選定もないような場合は新法(親族法・相続法)を適用して相続人を認定することになる。また、新法後に開始した相続については、新法の相続法が適用されるのは当然であるが、相続人となるべき者が適格者であるかどうかは一定の身分関係の存否を親族法に照らして被相続人との親族関係を把握しなければならない。右の場合、親族関係の発生、変更及び消滅の事由の存否は、被相続人が旧法当時に出生した者であれば、現行の親族法のみを適用してはその認定に誤りを生ずるので、まず旧法の親族法を適用したうえで、新法後における相続開始時までの身分変動を現行の親族法に照らして判断しなければならない。は し が き   3  は し が き

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