また、旧法戸籍上と現行戸籍上の各記載方について、本文類例中に掲げられなかったものは、本書の末尾に「新旧戸籍記載例」を収録し、利用者の便を補った。第二に、相続適格者認定上に留意すべき基本的事項として、戸籍調査の基準と併せて、必要な親族法及び相続法適用上のポイントを摘示した。第三に、相続適格者認定上に留意すべき被相続人の主要な身分関係につき、その発生と変動の類例を、特に現行の取扱いと相違する旧法の取扱いを対比し、可能なかぎり多くの戸籍をもって説示した。第四に、相続適格者を認定した後に作成する各種の相続登記申請書と、その添付書面を相続の類型別に掲げて実務に直接役立つよう考慮した。第五に、戸籍は、相続を証する書面となるのみならず、法定代理人が未成年者又は禁治産者に代わってする法律行為、事実証明などの場合に必要な代理権限を公証する書面として、また、登記名義人その他の登記事項中氏名の変更を公証する書面としても利用されるので、これらの戸籍の見方についても言及し、登記実務の処理に役立つよう配慮した。以上のような配意にもかかわらず、十分でない点が多いかと思われるが、読者各位のご批判を仰ぎ、さらに充実を期していきたい。本書の執筆については、本文を「髙妻」が、戸籍の仕組みと記載方について「荒木」が、それぞれ分担のうえ、最終的には両者において全般的に検討したものである。また、本書の素材の一部については、さきに「髙妻」が東京司法書士会の会報「司法の窓」に連載した「戸籍の見方・読み方」、「旧法にかかる相続(登記)と戸籍」に、さらに5 は し が き
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