本書の新訂版は,配偶者の居住権の保護,遺産分割の見直し,相続と登記の規律の見直し,遺留分制度の見直し,特別の寄与の制度の創設等を内容とする相続法の大改正(平成30年法律第72号)及びいわゆる遺言書保管法(同年法律第73号)の制定を受けて,平成30年11月に刊行されました。当時はその施行前であり,引き続き関係政省令の制定や施行通達等の発出等が予定されていたため,施行後の早い時期にフォローアップを計画していたところです。 他方,所有者不明土地の解消に向けた令和3年の民法・不動産登記法等の改正(同年法律第24号)においては,相続法の分野において,遺産共有や相続財産の管理,清算等に関する規律の見直しが行われるとともに,不動産登記手続において,相続人に対する遺贈の登記の単独申請化や運用の見直しによる相続登記手続の簡略化が図られるとともに,令和6年4月1日からは,いよいよ相続登記の申請の義務化及びこれに伴う相続人申告登記の制度が実施される予定となっています。 このように,平成30年改正及び令和3年改正を経て,相続制度及びこれに関係する不動産登記事務の取扱いについて,重要な見直しが行われたことから,本書についても,その改訂を進めることとしました。もっとも,従前の記述に加えて更に加筆すれば,大幅な頁数の増加が避けられないため,改訂に当たっては,従前の記述についても,その後の裁判例や登記先例等を反映しつつ,全体的な見直しを行い,全訂版として刊行することとしました。 本書が,引き続き法務局職員,司法書士等登記実務に携わる方々をはじめ,訴訟関係者等多くの方々に活用していただければ幸いです。 なお,本書の改訂に当たっては,引き続き日本加除出版編集部の盛田大祐氏に終始お世話になりました。紙上を借りて厚くお礼を申し上げます。 令和5年9月はしがき iは し が き幸 良 秋 夫
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