4 第Ⅰ部 第1章 相続制度の緩和,遺言執行者の権限の明確化),④遺留分制度の見直し(遺留分侵害額請求権として金銭債権化等),⑤相続の効力等に関する見直し(法定相続分を超える権利の承継の対抗要件化,遺言執行者がある場合の相続人の処分行為の効果等),⑥相続人以外の親族による特別の寄与制度の創設から成っています。また,これに伴い,遺産分割前における預貯金債権の仮分割制度の創設,特別の寄与に関する審判事件に係る規定の整備等の家事事件手続法の一部改正,配偶者居住権の創設に伴う不動産登記法の一部改正など関係法令の整備が行われました。 平成30年改正法は,原則として,令和元年7月1日から施行されましたが,自筆証書遺言の方式の緩和に関する規定については,先に平成31年1月13日から施行され,他方,配偶者の居住権に関する規定及び債権法改正に伴う整備規定については,令和2年4月1日から施行されました。 平成30年改正法は,原則として,施行日以後に開始した相続について適用されます(改正附則2条)。 令和3年には,所有者不明土地の増加等の社会経済情勢の変化に鑑み,所有者不明土地の発生を防止するとともに,土地の適正な利用及び相続による権利の承継の円滑化を図るため,民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)による民法及び不動産登記法等の改正が行われました。 令和3年改正法は,民法等を改正する部分と不動産登記法を改正する部分に分かれています。 まず,民法の見直しとして,土地利用の円滑化の観点から,①相隣関係の見直し,②共有物の変更・管理,共有物の管理者や裁判による共有物分割等に関する規律の見直し,③所有者不明土地・建物管理命令等の制度の創設,④相続財産等の管理や具体的相続分による遺産分割を求めることができる期間の制限等に関する規律の整備が図られ,また,これに伴う非訟事件手続法や家事事件手続法等の改正が行われています。 次に,不動産登記法の見直しとして,所有者不明土地の発生予防の観点か3 令和3年改正
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