相登
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Column 01 これまで創設された相続関係の新たな制度 これまで法務省・法務局においては,相続登記の放置が所有者不明土地や空き家問題を生じさせる一因となってきたこと等から,相続登記の促進に向けた様々な施策(広報活動の強化,登記申請手続の負担軽減等)が実施されてきましたが,これを一層促進するため,本文に述べた民法及び不動産登記法等の改正のほか,次のような新たな制度が創設されました。1 法定相続情報証明制度の創設 不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)の改正により,所有権登記名義人について相続が開始した場合において,その相続人が戸籍・除籍全部事項証明書(戸籍・除籍謄本)等の戸籍関係書類に基づいて作成した法定相続情報一覧図を登記官に提出し,その保管及び一覧図の写しの交付を申し出ることができる「法定相続情報証明制度」が創設され,平成29年5月29日から全国の登記所において運用が開始されました(本書453頁以下に記述)。ら,①相続登記の申請の義務化及び相続人申告登記制度の創設並びに相続関係の登記手続の簡略化,②所有権登記名義人の住所等の変更登記の申請の義務化,③登記所が死亡情報や住所等変更情報を取得する仕組みの創設,④死亡情報に基づく符号の表示,⑤住所等変更情報に基づく職権による登記,⑥所有不動産記録証明制度の創設等が行われています。 令和3年改正法のうち民法,非訟事件手続法,家事事件手続法等の改正に関する部分については,令和5年4月1日から施行され,不動産登記法の改正に関する部分については,①相続登記の申請の義務化や相続人申告登記に関する規定は令和6年4月1日から,②所有不動産記録証明制度,所有権登記名義人の死亡情報についての符号の表示制度や住所等の変更登記未了への対応に関する規定は公布の日から起算して5年を超えない範囲内で政令で定める日(政令は未制定)から,それぞれ施行することとされ,上記①及び②以外の改正規定(相続人に対する遺贈による所有権移転の登記の単独申請など)については,令和5年4月1日から施行されています。 なお,民法等及び不動産登記法の各改正規定については,その施行日前に既に生じている権利関係にも改正後の規定が適用されることを前提として,一部の規定について個別に経過措置が設けられています。第2 新民法(現行相続法)の改正経過 5

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