相登
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6 第Ⅰ部 第1章 相続制度2 長期相続登記未了土地に関する不動産登記法の特例 平成30年に成立した「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(平成30年法律第49号,同年11月15日施行)は,所有者不明土地問題への当面の対策を定めたものですが,同法では,法務省関係として,地方公共団体や国からの求めに応じ,所有権登記名義人の死亡後,長期間相続登記がされていない土地について,登記官が法定相続人等を探索した上で,職権で長期間相続登記が未了である旨等を当該土地の登記に付記して,相続登記を促すなどの不動産登記法の特例が設けられました。 また,これに関連するものとして,登記記録の表題部所有者欄の氏名又は名称及び住所が正常に記録されていない土地を対象とした「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律」(令和元年法律第15号)では,登記官にその所有者の探索に必要な調査権限が付与され,その結果を踏まえた表題部所有者の登記を改める規定が整備された(令和元年11月22日施行)ほか,探索を行っても所有者を特定できなかった土地について,裁判所が特定不能土地等管理者を選任し,同管理者がこれを管理する制度が設けられています(令和2年11月1日施行)。3 法務局における遺言書保管制度の創設 従前,自筆証書遺言に係る遺言書については,遺言者自らが保管すべきものとされてきましたが,平成30年改正法と同時に成立した「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(平成30年7月13日法律第73号,令和2年7月10日施行)では,法務局(遺言書保管所)において,自筆証書遺言に係る遺言書の保管及び情報の管理を行うことができる遺言書保管制度が創設されるとともに,その保管に係る遺言書については,家庭裁判所の検認を要しないこととされました(本書264頁以下に記述)。4 相続土地国庫帰属制度の創設 令和3年改正法と併せて,「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立し(令和3年法律第25号。令和5年4月27日施行),相続等により土地の所有権を取得した者は,同法所定の要件に該当する土地について,法務大臣の承認を受けて,当該土地の所有権を国庫に帰属させることができる相続土地国庫帰属制度が創設されました(本書126頁以下に記述)。

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