⑴ 自然死亡 一般に,死亡とは,医学上の自然死亡を指します。死亡した者の戸籍には,死亡診断書,死体検案書等を添付した死亡届に基づき,死亡の事実及びその年月日時分が記載されます(戸86条,15条)。戸籍の記載には,推定的証明力があると解されていますので,反証によって覆されない限り,戸籍に記載された死亡の年月日時分が相続開始の時となります。反証は,単にその記載を疑わせる程度(生死不明や異時死亡の可能性など)では足りません。第1 相続の開始 71 自然死亡第2章 相続の開始第1 相続の開始 相続は,人の死亡のみを原因とし,かつ,その死亡の時に開始します(民882条)。ここにいう「死亡」には,自然死亡と失踪宣告による擬制死亡が含まれます。相続による権利義務の承継は,法律上当然に生じ,相続人が相続の開始を知ったか否かや相続人の意思に関わりません(当然承継の原則)。【設問1】 戸籍上,いわゆる認定死亡あるいは高齢者消除の記載がされた者については,相続が開始するのか。回 答 戸籍上,いわゆる認定死亡の記載がされた者については,死亡の事実及びその時期が事実上推定され,相続が開始します。しかし,高齢者消除の記載は,戸籍上の整理のための措置であって,戸籍上相続の開始日(死亡日)が明らかではありませんので,その者の除籍事項証明書(除籍謄本)をもって相続を証する情報とすることはできません。
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