相登
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〔戸籍記載例 高齢者消除の場合〕⑴ 失踪宣告の要件 失踪宣告は,人の生死が一定の期間明らかでない場合に,その者を一定の時点で死亡したものとみなす制度です。民法30条1項は,「不在者の生死が7年間明らかでないときは,家庭裁判所は,利害関係人の請求により,失踪の宣告をすることができる。」と規定し,同条2項は,「戦地に臨んだ者,沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が,それぞれ,戦争が止んだ後,船舶が沈没した後又はその危難が去った後1年間明らかでないときも,前項と同様とする。」と規定しています。前者を普通失踪,後者を特別失踪(危難失踪)といいます。 普通失踪における「不在者」とは,従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者をいい(民25条1項),また,「生死が明らかでないとき」とは,生存の証明も死亡の証明もできない状態をいいます。特別失踪における「危難」には,地震,火災,洪水,津波等の一般的事変のほか,海中への転落や登山中の転落等の個別的遭難も含まれます。高齢者消除【高齢者消除の許可日】平成5年1月14日【除籍日】平成5年1月16日第1 相続の開始 92 失踪宣告(擬制死亡)【設問2】 失踪宣告があった場合には,いつ相続が開始するのか。回 答 失踪宣告の審判の確定により,普通失踪では,7年の失踪期間が満了した時,特別失踪では,その危難が去った時に死亡したものとみなされますので,その時に遡って相続が開始します。戸籍上,「死亡とみなされる日」が記載されますので,その日が相続開始日になります。

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