前の規律を維持し、特例有限会社として存続する。)② 設立時の出資額規制の撤廃(従前の確認会社の一般化)③ 事後設立規制の見直し(検査役調査の廃止)⑵ 会社経営の機動性・柔軟性の向上① 組織再編行為に係る規制の見直し(吸収合併の対価の柔軟化、簡易組織再編行為の要件の緩和)② 株式・新株予約権・社債制度の改善(譲渡制限種類株式の容認、現物出資の検査役調査の要件緩和、端株制度の廃止等)③ 株主に対する利益の還元方法の見直し(剰余金の分配の整理と統一的財源規制、剰余金の分配の随時化、一定の場合の取締役会決議による決定可)④ 取締役の責任に関する規定の見直し(無過失責任規定の見直し等)⑶ 会社経営の健全化の確保① 株主代表訴訟制度の合理化② 内部統制システムの構築の義務化(大会社(最終事業年度に係る貸借対照表計上の資本金の額が5億円以上又は同計上の負債合計額が200億円以上のもの。会社2条6号)につき)③ 会計参与制度の創設④ 会計監査人の任意設置の範囲の拡大⑷ その他① 新たな会社類型(合同会社)の創設② 特別清算制度等の見直し4 会社法の下における会社(株式会社と持分会社) 会社法は、株式会社のほかに、平成17年改正前商法においても存在した合名会社及び合資会社に、新たに合同会社を加えて3種の会社を設けている(総称して「持分会社」といわれる。会社575条)。合名会社は、社員のすべてが無限責任を負い、合資会社は無限責任社員と有限責任社員とがおり、合同会社の社員は有限責任であるが、社員の人的つながりが強いことを前提として、その持分の譲渡は他の社員の全員一致を要するなど、組合類似の規制がされており、いずれも、社員の間の人的関係が強い会社形態である。 株式会社は、出資の限度で株主が責任を負うという有限責任形態を採り、株式の譲渡は原則的には自由であるという株主間の人的関係の弱い会社形態である(廃止された有限会社も社員は有限責任であったが、持分の譲渡には社員総会の決議による承認が必要であった。)。5 平成26年会社法改正及び令和元年会社法改正の概要⑴ 平成26年会社法改正 会社法制定後、会社法も上記法務省令も度々部分的改正がされており、必要な範囲で当該規律を説明するところで触れることとするが、平成26年6月27日法律第90号により大幅な改正が行われ(以下「平成26年会社法改正」ともいう。)、平成27年5月1日施行された。同改正は、コーポレートガバナンスの強化及び親子会社に関する規律の整備を目的とするものであり、その要点は、次のとおりである。第1章 会社法と定款4
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