監修にあたって 平成18年に本書初版を上梓してから約15年が経過した。その間に定款実務も変化し、平成26年に監査等委員会設置会社の創設や社外取締役制度の見直し等の会社法改正が行われるなどした。これらに伴い、本書も平成21年に第2版、平成27年に第3版と、2回の改訂を行った。 本書は、定款とその作成・認証実務について基本的な解説をするとともに、定款変更についても詳細な説明をし、そして本書の中心的部分として、定款の各条項について多数の例文を掲げて、詳細な解説をし、それぞれの機関設計に合わせて多くのパターンの定款事例を掲げている。初版・第2版・第3版のいずれも定款実務に関わる公証人、弁護士、司法書士、行政書士、会社関係者等、多くの実務家に愛用されるとともに、様々なご意見等を頂戴してそれらを本書に反映させ、定款実務家の使い勝手のよいものにするよう心がけてきた。 この度、令和元年12月に会社法の改正が行われた。令和元年改正の主要な点は、①株主総会資料の電子提供制度の新設等の株主総会に関する規律の見直し、②取締役等への適切なインセンティブの付与等を目的とした、上場会社等における取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針の取締役会での決定の義務付け、会社補償契約や役員等賠償責任保険(D&O保険)に係る契約に関する規定の新設、③上場会社等の社外取締役設置義務化、④その他、社債管理補助者制度の新設、株式交付制度の新設、会社の支店所在地における登記の廃止等多岐にわたり、定款実務にも大きな影響があるものである。 また、第3版以後に、公証実務における定款認証の扱いにおいても様々な改革が行われた。①法人の不正使用(マネー・ローンダリング、テロ資金供与等)の抑止を目的とする実質的支配者となるべき者の申告制度の導入、②テレビ電話による認証制度の導入、③定款認証申請の受付日の翌日から起算して3執務日目までに設立登記も完了することとするスーパー・ファストトラック・オプション制度の導入等である。監修にあたってv
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