改訂版境界の理論と実務
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i改訂版はしがき 初版を上梓してから10年近くが経過した。初版の上梓は,筆界特定制度発足後間もない頃であったが,改訂版では,筆界特定制度の発足を一つの契機として裁判所における筆界の判断手法が大きく変貌を遂げつつあることを紹介しつつ,その後の境界に係る裁判例の動向につき,詳細に言及している。 また筆者は,退官後,全国の地方自治体職員や土地家屋調査士の方々等から数多くの実例を学んだ。その中で,境界争いが人の心をむしばんでいることや,とりわけ官民境界が適切に管理されていないため,副次的に周囲の境界を歪めていることを知った。それゆえ,改訂版では,官民境界の法律関係をクリアにすることに一つの力点を置いている。さらに,地籍調査の法律問題や公図等の精度の分析,道路内民有地等についても説明も補訂している。 また,市民の権利意識の向上に伴い,境界問題を住民訴訟で解決しようとする機運が高まっていることを紹介している。 その他,所有者不明土地や変則型登記など最近にわかに脚光を浴びている問題も,境界立会の問題に関わることから,できるかぎり分かりやすく言及している。 初版同様,実務の手引書としてご活用願えれば幸甚である。 なお,手引書としての便宜性を高めるため,初版同様,参照すべき個所(レファレンス)を項目でなく,頁で示している。改訂版はしがき

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