改訂版境界の理論と実務
7/90

iii初版はしがき 本書は,登記官,国有地・公有地の管理担当職員等,土地家屋調査士,地籍調査担当者,公共測量その他土地測量に携わる者,不動産業者など,実務家が現地で土地の境界を調査し,あるいは境界について協議しようとする際,どのような法律問題に留意して事務を進めればよいのかをできる限り平易なことばで解説しようとするものであって,「民事研修」600号(平成19年4月)から617号(同20年9月)まで18回にわたり連載した原稿に大幅な加筆・補正を施してこれを集成したものである。 土地境界の確定のために4年半を超える年月を要したという六本木ヒルズ再開発事業の例を挙げるまでもなく,国土が狭隘でしかも山がちなため利用可能な土地範囲が限られている我が国にあって,境界をめぐる法律問題は,長年,国民や実務家をわずらわせている。ところが,問題解決の指針となるはずの実務解説書は意外と少ない。加えて,土地の境界は,民法,民事訴訟法,不動産登記法,国土調査法,公物管理や行政訴訟を中心とした行政法のほか,法制史,地理学,測量学等にまたがる学際的分野であることから,学者も,境界確定訴訟の本質論に係る一部論考を除いて,あまり活発に論じていない。 本書は,土地境界の現地調査についてのみでなく,境界の生成過程,境界を紡いだ成果として作成される地図や図面等の精度,筆界特定制度や境界に関する裁判など,境界をめぐる法律初版はしがき

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る