新訂設問解説判決による登記
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⑵ 確認の訴え張し,判決でその支払を命ずることを求めるように,原告が,訴訟上の請求として,特定の実体法上の給付請求権の存在とこれに対応する被告の具体的な給付義務を主張し,判決の主文で被告に対して一定の給付を命ずることを求める訴えをいいます。損害賠償請求や建物収去・土地明渡請求等のほか,登記手続等の特定の意思表示を求める訴えも,これに含まれます。 給付の訴えにおける原告勝訴(請求認容)の判決を給付判決といい,これが確定すると,原告の被告に対する給付請求権の存在につき既判力(その後同一の権利関係について訴訟が提起された場合,裁判所は前訴の判決と矛盾する判断をしてはならないという訴訟法上の拘束力)を生ずるほか,執行力(被告が任意に履行しないときは,強制執行により権利の満足を求めることができる効力)を生じます。 確認の訴えとは,原告が被告に対し,特定の権利又は法律関係の現在における存在又は不存在を主張し,判決の主文でその存在又は不存在の判断(確認)を求める訴えをいいます。所有権確認の訴えや金銭債務不存在確認の訴えなどがこれに該当します。 確認の訴えにおける請求認容又は請求棄却の判決を確認判決といい,これが確定すると,その効力として既判力を生じますが,執行力は生じません。すなわち,確認の訴えは,その後に強制執行による権利実現を予定せず,権利関係の存否を確定することによって当事者間の紛争を解決し,以後の紛争を予防しようとするものですので,最終的に強制執行により権利を強制的に実現しようとする場合には,給付の訴えを提起する必要があります。 例えば,甲所有の土地を不法に占用している乙に対し,甲が強制的な手段に訴えてでも明け渡してもらおうという場合には,所有権の確認を求めるだけでは足りず,その明渡しをも請求しなければなりません。また,乙所有の土地を買い受けた甲が,乙に対し,所有権確認の判決を得たとしても,甲は,当該判決をもって単独で乙から甲への所有権移転の登記を申請することはできず,これを可能とするためには,乙に対する所有権移転登第1 民事訴訟手続の概要  3

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