新訂設問解説判決による登記
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4  第1章 序  説⑶ 形成の訴え記手続をも請求して,その登記手続を命ずる判決を得る必要があります。 形成の訴えとは,裁判所の判決によって,当事者間における一定の法律関係の形成(発生,変更又は消滅)を求める訴えをいい,離婚の訴えや婚姻の取消しの訴え,会社設立無効の訴えなどがこれに該当します。形成の訴えは,法律関係の新たな形成を求めるものであって,訴えをもって裁判所に権利又は法律関係の形成を求めることができる旨が法律に規定されている場合に限り,認められますので,その請求には,一定の法律上の形成原因(離婚原因や会社設立無効原因など)の主張が含まれていなければなりません。ただし,筆界確定の訴えや共有物分割の訴えなどのように,形成原因の主張がなく,裁判所が法律関係を形成するに当たって依拠すべき具体的な形成要件(基準)が法定されていないという場合もあります(これを形式的形成の訴えといいます。)。 形成の訴えにおける原告勝訴(請求認容)の判決(形式的形成の訴えでは当該判決自体)を形成判決といい,既判力を有するほか,形成力(直接に実体法上又は訴訟法上の法律関係を発生,変更又は消滅させる効力)を生じます。3 共同訴訟 民事訴訟は,原告及び被告がそれぞれ1名という形態に限られず,当事者の一方又は双方が複数の場合があり,これを共同訴訟といいます。 共同訴訟は,各共同訴訟人について合一の確定が要請されない通常共同訴訟(民訴法38条参照)と各共同訴訟人につき判決が区々になることが許されず,合一の確定が要請される必要的共同訴訟(同法40条)に分けられ,後者は,更に全員が共同して訴え,又は訴えられることが必要な場合であるか否かによって,固有必要的共同訴訟と類似必要的共同訴訟とに分けられます。固有必要的共同訴訟は,利害関係人全員が共同で訴え,又は訴えられなければならないものであり,全員が当事者とならなければ当事者適格を欠き,訴えが不適法として却下されます。他人間の権利関係の形成又は変動をもたらす訴訟(例えば,第三者が提起する婚姻無効又は取消しの訴え),数人が共同し

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