て管理処分すべき財産に関する訴訟(例えば,共有物分割の訴え)などが該当します。これに対し,類似必要的共同訴訟は,学説上認められているもので,個別に訴えを提起することも可能ですが,共同で訴え,又は訴えられた以上は統一的な裁判が要求されるものです。数人が提起した会社設立無効の訴えなどが該当します。 共同所有の関係にある財産をめぐる紛争について訴えを提起する場合,共有者の全員がそろって原告又は被告にならなければ当事者適格は認められないかという点については,種々の議論があります。共有不動産に係る登記手続請求訴訟においても,例えば,共有者の1人は,その共有持分権に基づき,登記記録上の所有権登記名義人に対して当該登記の全部抹消を求めることができるか,あるいは不動産の売主が買主への所有権移転の登記をしないまま死亡した場合,買主は,売主の共同相続人中の1人のみを相手方として所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができるか等々といった形で問題となることがあります。4 民事訴訟手続の基本原則 民事訴訟手続には,処分権主義と弁論主義という大原則があります。後者については,登記実務上議論となることがあるいわゆる欠席判決や自白判決の取扱いとも関連しますので,その内容を理解しておく必要があります。⑴ 処分権主義 処分権主義とは,当事者に対し,裁判所の判断を求めるかどうか(訴訟の開始),何について求めるか(審判の対象・範囲)を決定する権能を認め,あるいは判決を待たずに訴訟を終了させるか(訴えの取下げや和解,認諾)等の処分の自由を認める原則をいい,私的自治の原則に由来します。 この原則から,裁判所は,当事者の申し立てた請求と比べ質的に異なり(金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求に対し,約束手形振出しによる支払義務を認めて請求を認容すること),又は量的に大きい権利を許容してはならない(100万円の貸金返還請求に対し,500万円の支払を命ずること)という建前が採られています(民訴法246条)。第1 民事訴訟手続の概要 5
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