8 第1章 序 説⑴ 自己拘束力います。冒頭の貸金返還請求において,甲が「乙に100万円を貸し渡した。」と主張したのに対し,乙が「認める。」と答弁すれば,裁判所は,証拠による認定を要せず(民訴法179条),そのまま判決の基礎としなければなりません。イ 擬制自白 民事訴訟では,当事者が口頭弁論又は弁論準備手続において相手方の主張事実を明らかに争わなかったり,適式な呼出し(公示送達による呼出しを除く。)を受けながら口頭弁論期日に欠席した場合,相手方の主張事実を自白したものとみなされます(民訴法159条1項・3項)。これを「擬制自白」といい,自白と同様,証拠による認定を要せず,裁判所は,そのまま判決の基礎としなければなりません。ウ 欠席判決 被告が,訴状の送達を受けながら,あらかじめ答弁書その他の準備書面を提出しないで最初の口頭弁論期日に欠席した場合,原告は,被告欠席でも訴状を陳述することができます(民訴法161条3項)。この場合,被告が公示送達以外の通常の送達による呼出しを受けていれば,被告は,原告が訴状に記載し陳述した事実主張を自白したものとみなされますので(同法159条3項・1項),訴状に請求を理由付ける原因事実が不足なく記載され陳述されていれば,これをそのまま判決の基礎とすべきことになり,裁判所は,直ちに(証拠調べをしないで)弁論を終結して,原告の請求を認容する判決を言い渡すことができます。これを実務上「欠席判決」と呼んでいます。5 判決の効力 一般に,裁判は,その成立後においては,その裁判をした裁判所において撤回又は変更をすることが許されないのが原則です。これを裁判の自己拘束力といいます。例外的に,判決が法令に違反したことを発見したときは,裁判所は,その言渡し後1週間以内に限り,変更の判決をすることができます(民訴法256条1項)。また,判決に計算違い,誤記その他これらに
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