新訂設問解説判決による登記
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⑵ 形式的確定力⑶ 既判力(実体的確定力)類する明白な誤りを発見した場合には,裁判所は,申立て又は職権により,いつでもこれを訂正する更正決定をすることができます(同法257条)。 ある判決について,もはや通常の不服申立方法(控訴・上告)によってその取消しを求めることができない状態に至ったことを判決の確定といい,この確定判決の不可取消性を判決の形式的確定力といいます。判決は,上訴権を有する当事者が上訴期間(判決書の送達を受けた日から2週間。民訴法285条,313条)を経過したときは,その期間を経過した時に確定します(同法116条1項)。上訴期間の経過前であっても,上訴権を有する当事者がこれを放棄した場合(同法284条,313条)には,その放棄の時に判決は確定します。これに対し,上訴期間内に適法な上訴があると,判決の確定は遮断され(同法116条2項),上訴棄却の判決が確定するまでその確定は引き延ばされることになります。最終審である上告審の判決に対しては,一般に不服申立ては認められませんので,その言渡しとともに確定します。 判決が確定すると,その内容である訴訟物たる権利関係の存否についての裁判所の判断は,その後同一の権利関係について訴訟が提起された場合,裁判所は前訴の判決と矛盾する判断をしてはならないという訴訟法上の拘束力を有し,これに反する当事者の主張立証は排除されることになります。これを既判力といいます。例えば,所有権確認訴訟の勝訴判決が確定した後,同一当事者間で当該所有権の不存在確認訴訟が提起されたときは,裁判所は,前訴判決の内容と異なる判断をすることができず,当事者も,これに反する主張をすることはできません。判決の既判力は同一紛争の蒸し返しを防ぎ,法的安定性を確保するために認められるものです。 既判力がどこまで及ぶかについては,次のように,時間的限界(既判力の標準時),客観的範囲及び主観的範囲に分けて説明されるのが通例です。ア 既判力の時間的限界(既判力の標準時) 既判力の時間的限界とは,判決において,いつの時点を基準に訴訟物たる権利又は法律関係の存否の判断がされているかという問題です。 判決における請求の当否に関する判断は,事実審の口頭弁論終結時ま第1 民事訴訟手続の概要  9

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