本書は,平成19年3月に初版を刊行し,平成24年7月には改訂版,平成29年4月には改訂補訂版をそれぞれ刊行してきましたが,以来,既に約5年が経過しました。 改訂補訂版の刊行後,今日までの間,本書のテーマである不動産登記法63条1項に規定する「確定判決による登記」の手続については,大きな変化はみられないものの,最近の相次ぐ民事基本法制の整備等に伴い,本書の記述についても,全体的な見直しの必要に迫られていました。例えば,平成29年の債権法改正により,従前民法423条の債権者代位権の代表的な転用例とされていた登記請求権の保全を目的とする債権者代位権の行使につき,新たに民法423条の7として明文化され,また,履行強制の具体的な方法については,民事執行法に一元的に定めるのが合理的であるとして,民法414条が改められ,これに伴う関係法律整備法により民事執行法の規定が整備された結果,本書でも数多く触れている意思表示の擬制を規定していた同法174条が177条に繰り下げられました。平成30年の相続法改正においては,配偶者居住権制度の創設,相続による権利の承継につき法定相続分を超える部分に係る対抗要件主義の採用,遺留分制度の見直しによる金銭債権化等が図られ,さらに,令和3年の民法・不動産登記法等の改正(所有者不明土地関係)においては,不動産登記法上,共同申請によるものとされたきた遺贈による所有権移転の登記のうち,相続人を受遺者とするものについては受遺者(登記権利者)による単独申請を可能とする規定の新設,相続登記の義務化等が規定されています。これらの法令改正は,登記手続請求訴訟及びその確定判決に基づく登記手続に関係するところが少なくないと思われます。 そこで,本書の在庫が僅少となった機会に,これらの法令改正,制度の変更を踏まえ,最近の判例や登記先例等の紹介等を含めて全体的な見直しを行い,新訂版として刊行することとしました。 本書の趣旨,体裁等については,初版「はしがき」に述べたように,できるだけ具体的な事例を「設問」として取り上げて,これに対する「回答」を新訂版はしがき 1新訂版はしがき
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