新訂設問解説判決による登記
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12  第1章 序  説⑷ 執行力⑸ 形成力の事実審の口頭弁論終結後に,被告から特定承継による所有権移転の登記を経由した第三者が「承継人」に該当するか否かについては,民法177条の対抗問題とも関連し,議論のあるところですので,後に「当事者の地位の承継と承継執行文」の項(本書64頁以下)で触れたいと思います。当該所有権移転の登記が相続等の一般承継によるものである場合には,登記名義人である一般承継人が「承継人」に該当することはいうまでもありません。 第3は,当事者,利益帰属主体又はこれらの承継人のために「請求の目的物を所持する者」です(民訴法115条1項4号)。訴訟物が特定物の給付を目的とする請求権である場合の雇人,同居者,保管人等のように,専ら本人ためにその物を占有する者がこれに該当します。主として強制執行をする場合に意味があり,勝訴の確定判決を得た原告は,被告のために目的物を所持している者に対し,新たに訴えを提起することなく,当該確定判決に基づいて引渡し等の強制執行をすることができます(民執法23条3項参照)。 執行力とは,判決の内容が強制執行によって実現され得る効力をいい,給付判決のみがこれを有し,かつ,判決の形式的確定を待って生じます(民執法22条1号)。ただし,財産権上の請求に関する判決については,その主文で仮執行宣言を付することができ(民訴法259条1項),これが付されたときは,判決の言渡しと同時に執行力を生じます(民執法22条2号)。なお,登記手続を命ずる判決には,仮執行宣言を付することはできません(本書32頁以下参照)。 形成力とは,例えば,「原告と被告とを離婚する。」との判決により両者の婚姻関係を消滅させるように,判決によって,直接実体法上又は訴訟法上の法律関係を発生,変更又は消滅させる効力をいいます。形成判決に限りこれを有し,その確定を前提として生じます,この形成力は,原則として,第三者にも及びます。

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