新訂設問解説判決による登記
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 平成19年3月に本書を刊行しましたところ,幸いにも登記実務に携わる方々のみならず,訴訟関係者等多くの方々に本書をご利用いただき,深謝申し上げます。 ご承知のとおり,不動産登記法は,権利に関する登記について,原則として,相対立する当事者(登記権利者・登記義務者)が共同で申請すべきものとして,登記の真正の確保を図っていますが,同法63条1項に規定する「判決による登記」は,この共同申請主義の例外として,当事者が共同して権利に関する登記を申請すべき場合において,当事者の一方が当該登記の申請に協力しないときは,その他方は,一方に対して登記手続をすべきことを命ずる確定判決を得て,その判決を一方の登記申請行為に代えることにより,単独で当該登記の申請をすることができるというものです。したがって,単独申請が認められるほかは,特段の規定がない限り,一般の申請と同様に取り扱われますが,判決による登記手続については,これまでも数多くの登記先例や裁判例があり,登記実務に携わる側には,不動産登記手続のほか,民事訴訟手続や民事執行・保全手続についての理解が求められ,他方,訴訟関係者においても,その最終的な目的である登記を実現するために,不動産登記手続についての理解が求められる分野であると思われます。 そこで,本書の執筆に当たっては,できるだけ具体的な事例を「設問」として取り上げ,これに対する「回答」を示した上で,関連する従前の登記先例及び裁判例をできるだけ紹介しながら解説をすることにより,判決による登記手続について体系的に理解が深まるよう工夫したほか,読者の利用の便を考慮して,関係する登記申請の書式を「付録」として掲げることとしました。 今般,本書の初版を刊行してから5年が経過しましたので,その後に現れた登記先例や裁判例等をフォローするとともに,記述が不十分な箇所については加筆修正を行い,あるいは記述が足りなかったと思われる分野(時効取得や遺贈,遺留分減殺など)については新たに設問を追加したほか,付録の改訂版はしがき  5改訂版はしがき

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