17_法テ
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第3 訴えの提起に至るまでの具体的な事務手続(訴状作成から提出まで)7笑子 「なぁに?」希美 「前から疑問だったんですけど,どうして訴状なんて出すんですか?笑子 「えっ?」希美 「だって,普通の人は訴状なんて書けないじゃないですか。日本の裁判は,弁護士に依頼しなくても自分でできるって……,えっと,『本人訴訟』でしたっけ。それができるって教わったけど,でも訴状なんて書けないから,結局は弁護士に依頼しないとだめじゃないかって……なんかよくわからなくて……」笑子 「なるほど,じゃあ,まずはそのあたりから勉強しようか」希美 「はい,お願いします」1.訴状の役割 民事訴訟はまず,当事者による「訴うったえの提てい起き」から始まります。訴えがないまま訴訟が始まることはありません。裁判所が自ら「どうもおかしい……」といって,訴えもないのに訴訟を始めることはありません。捜査機関ではないのだから,「調べてください!」といっても,調べることもしません。現実問題,裁判所も忙しいので自ら民事訴訟を始めるなんてことはないでしょう(仮に裁判所が暇だとしても自ら訴訟を始めることはできないのです)。 多くの場合,「訴状」という書面を裁判所に提出する方法で「訴えの提起」をします。でも,希美の疑問のように,なぜ訴状って必要なのですか? こんなふうにストレートに聞かれたら答えられますか? 民事訴訟法は民事訴訟をするためのルールでしたね。だから,その答えは民事訴訟法に書いてあるはずです。そこで条文を探してみると……ありました! 裁判所に行ってもっと簡単に手続できないんですか?」というわけで,希美の勉強が始まりました……。

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