第1章 民事訴訟法と法律事務16 金銭請求の場合には請求金額が訴額となります。将来の金銭給付請求の場合には,中間利息相当分を控除して訴え提起時の現価に引き直します(交通事故事件の損害賠償請求において,逸失利益の請求がこれにあたります)。希美 「そうか,訴状に書くことって決められているんですね。でも,これっ笑子 「まぁ,そうなんだけど……。じゃ,次は私たちの仕事に関わりのあ希美 「訴額と管轄……。私たちにとって重要なんですか?」笑子 「そう,訴額はそれによって訴訟提起に必要な手数料の額が決まるからね。訴状を提出するときに,手数料の額を間違えたら書記官から指摘されるわ。それに管轄は,どこの裁判所に提出するかの問題だから,よく理解しておいた方がいいわよ」希美 「はい,わかりました」3.訴 額 訴額(訴訟物の価額)とは,その訴訟で原告が審判の対象として主張する権利または法律関係について原告が有する経済的利益を金銭で評価した金額をいい,「訴訟の目的の価額」(民訴8条,9条)と同義です。 訴えを提起しようとする原告は,「民事訴訟費用等に関する法律(民事訴訟費用法)」に従って手数料を納めなければなりません。手数料は訴額を基準に算定されます。また,訴額は訴えを提起する裁判所が,簡易裁判所になるか地方裁判所になるかを決める管轄(事物管轄)の基準にもなります。 訴額の算定には次のような一般原則があります。① 訴額の算定は,訴え提起の時をもって算定する② 非財産上の請求について訴額は160万円とみなす(民訴費4条2項て,やっぱり勉強してないと書けないですよね」る訴額と管轄のお話よ」前段) 経済的利益を直接の目的としない非財産上の請求は,原告の受け
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