第3版補訂 戸籍の重箱
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4前菜(戸籍のこころ) 人はこの世に生まれて亡くなるまでの間に,いろいろな身分行為(婚姻や養子縁組など)をします。その身分変動を記載し,それを公的に証明することが戸籍の役割です。 もちろん,戸籍の記載は法的に正しいものであって,かつ,事実と合っているものでなくてはなりません。しかし,中には法的に正しくなかったり,事実と違っていることが戸籍に記載されている場合もあります。これを是正するのが戸籍訂正の役割です。 窓口で届書を受理する私たちは,人の人生と関わる大変重要な仕事を任されています。受理することによって養親子関係が成立したり,相続に大きな影響を及ぼしたり,また,不受理とすることによってその身分行為をする意思が戸籍に反映しなかったりします。窓口の受理行為は第一段階でありながらも,最重要段階であると言っても過言ではありません。 届書は,すべて法的な根拠に基づいています。難しい事例であればあるほど,疑問が解けたときの喜びは大きいのです。それが,戸籍の勉強の醍醐味です。まずは,基本的な届書を知ることから始めましょう。基本的な届書の中に「なぜこうなるのか」を押さえながら覚えると,難しい事例の時には応用ができます。経験を繰り返すことによって,知識が蓄えられ,いつの間にか審査の力がついてきたことを実感するでしょう。 届書の正確な審査もさることながら,窓口に来た方にわかりやすく説明する力も,私たちには不可欠です。戸籍の用語や根拠の法律はとても難しく,参考書で得た言葉をそのまま話しても,窓口ではなかなか理解していただけません。そんな場合は,常に頭の中で「もし私がこの方だったら…」と考え,自分がわかりやすいと思う言葉で「噛み砕いて」話すことを心がけましょう。 そのためには,用語や法律の意味や意義を十分理解しなければなりません。知識を自分のものにして,自信を持って説明できる力をつけてください。  人の人生「なぜ」を大切に説明する力届書を知る届書を知る

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