1 認知の種類37 嫡出でない子は,その父又は母がこれを認知することができる(民779条) 「認知」とは,嫡出でない子に対して事実上の父又は母が,自分の子であることを承認し,法律上の親子関係を発生させる行為を言います。 出生届の説明では「母は認知しなくても,法律上の母子関係は,分娩の事実があれば当然に認められる(事実主義)」と述べていたのに,認知の条文になぜ母の認知が記されているのか不思議に思うでしょう。これは,かつて判例は,母の認知により母子関係が生ずるとしていたからで(大判大正10.12.9民録27輯2100頁等),近時,最高裁判決も母子関係についての母の認知は要しないとしています(最判昭和37.4.27民集16巻7号1247頁等)。したがって,認知をする人は「父」であると考えてよいでしょう。 民法772条の規定で「嫡出推定を受ける子」は,「父」が誰であるかは出生の時点で定まるので認知をしなくてもよいのですが,婚姻関係にない父母の間に生まれた子は,父が認知しないと父だとは認められません。このことから,認知される子は必ず嫡出でない子で,また,誰にも認知されていない子でなくてはなりません。⑴ 任意認知(民779条,戸60条・61条)○ 未成年の子の認知 子が認知されることは,未成年の子にとっては,一般的には福祉にかなうことになります。また,認知は父の一方的届出(民781条1項)で成立し,子は認知されることを拒むことはできません。○ 成年の子の認知 認知は,子にとっては,一般的には福祉にかなうことではあるけれど,子が監護を必要とする未成年のときに認知をせず,子が成人して,今度は子に親が扶養される年齢に近づいてから,やっと認知するというのは虫が良すぎます。その考えから,成年の子の認知には認知されても良いという,子の「承諾」が必要です(民782条)。第2 認 知弐の重(学習の箱)第2認 知
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