第3版補訂 戸籍の重箱
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38弐の重(学習の箱) 民法等の一部改正(平成30年法律59号)により,令和4年4月1日から成年年齢(民4条)が20歳から18歳に引き下げられましたので,成年の子の認知の場合の「成年」の基準は,18歳に達したものとなります。 なお,施行の際(令和4年4月1日)に,18歳以上20歳未満のもの(改正前,すでに婚姻により成年擬制したものを除く。)については,改正法施行日である4月1日に成年に達するものとするとされています(改正法附則2条:成年に関する経過措置)。 出生による日本国籍の取得について,国籍法2条1号は,「出生の時に父又は母が日本国民であるとき。」としています。これを「血統主義」と言います。出生子は「父又は母が日本人であれば,日本国籍を取得する」とありますが,「出生の時」と限定されているのです。これは「出生による日本国籍の取得は,子が生まれ出た時に確定していなければならない。」という考えからです。外国人女性と日本人男性が婚姻して子どもが生まれれば,嫡出推定(民772条)で父が確定していますので,生まれた時に父が日本人だから,子は生まれながらにして日本国籍を取得します。でも,外国人母の嫡出でない子の場合はどうでしょうか。父が日本人の場合は「認知」をしなければなりません。さらに,子が生まれながらにして日本国籍を取得するには,前記の「出生の時」に父が確定している必要があります。子が生まれてから認知(生後認知)しても,原則として出生によって日本国籍は取得しません。そこで,あらかじめ母の胎内にある子を認知(胎児認知)して,出生時に父を確定させることで,子は出生と同時に日本国籍を取得することになります。○ 胎児認知 母の胎内にいる子を認知するには,母の承諾が必要です(民783条1項)。この承諾は,母の名誉を尊重するというのが立法の趣旨ですが,母の意思と人格尊重,そして認知の真実性の保証のためでもあるとされています。認知された胎児は,生まれて初めて認知の効力が発生します。このため,不幸にも死産したときは,先にした胎児認知の効力は発生しません。この場合は,死産届(戸65条)をすることになります。法改正トピックス法改正トピックス外国人母の嫡出でない子と胎児認知(出生による日本国籍取得について)成年年齢の改正と成年の子の認知①

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