149 花子はサッカーが大好きで,男の子が生まれたら,絶対に付けたい名前がありました。「蹴人(シュート)」です。花子は,出生届に力をこめて「蹴人」と書いて,9月14日に戸籍の窓口に提出しました。しかし……。担当者 「あのぅ,まことに恐縮ですが,お子さんの名につけられる文字は法律で定められていまして,この『蹴』という文字は,お子さんの名に付けられない文字なんです……。」花 子 「えっ! 本当ですか?どうしよう他の名前は考えてないんです。」担当者 「もうすぐ,『蹴』という文字が付けられるようになるのですが……。」 母花子は,もうすぐ,規則が改正されて,子の名の文字が増えることを聞いて考えました。出生届出の期間は14日以内なので,今日は出生届をしよう。でも,どうしても「蹴人」という名を付けたいので,「名未定」で届出をし,あとで名をつけることもできると聞いたので,名はそのときに手続をして戸籍に記載してもらうようにしようと決心しました。第1話 がんばれ蹴人くん 父母が婚姻しないで生まれた子は,嫡出でない子です。出生届が提出されれば,子は母の氏を称して(民790条2項)母の戸籍に入ります(戸18条2項)。出生届の届出義務者は母(戸52条2項)で,子が出生してから14日以内(戸49条1項)に本籍地あるいは所在地(戸25条)又は子の出生地(戸51条)で届出をします。母が戸籍筆頭者でないときは,三代戸籍が禁止されている(戸17条)ので,母が新戸籍を編製して,子を入籍させます。 子の名に付けられる文字は,常用平易な文字(戸50条)と定められていて,常用平易な文字の範囲は,常用漢字表の文字,戸籍法施行規則別表第二の文字,ひらがな,カタカナと定められています(戸規60条)。平成16年9月2日に生まれ,同月14日に母花子が出生届をした時点では,「蹴」という文字は,この規定の範囲には入っていなかったのです。 しかし,平成16年法務省令66号をもって,戸籍法施行規則の一部が改正され(平成16.9.27施行),同規則別表第二漢字の表(60条関係)も改正され,子の名に付けられる文字が大幅に増えました。「蹴」という字も,別表第二の一に加えられ,子の名に付けられる文字になりました。嫡出でない子の戸籍を考えてみましょう子の名に付けられる文字
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