iii 私は,各地での研修活動を通じて,市区町村の戸籍事務担当職員の方々とお話をする機会があります。お話をすればするほど,皆さんは,戸籍実務に対して,さまざまな悩みを抱え,日々ご苦労をされているのだと感じますが,一方で,「難しくても,戸籍はおもしろい。」「苦労しても,やっぱり戸籍が好き。」とおっしゃる方が非常に多いことに驚かされるのです。 興味を持つことが「やる気」に繋がるということは,誰もがわかっていることですが,興味を持つには,その力を生み出す「動機づけ」が必要なのではないかと私は思っています。 人の人生と密着した戸籍は,血の通ったあたたかいものであり,その窓口では,さまざまな人生が渦巻き,時にはドラマを生み出す。それを実感することで,戸籍を愛する「きっかけ(動機づけ)」ができ,興味を持つことで,苦労しながらも自分の足で,しっかりと歩んでいける……。そんな皆さんの姿を見たいという思いから,平成22年に「戸籍の重箱(初版)」が誕生しました。 平成24年には,親権,後見についての大きな法改正を機に,「どこが,どう変わったのか」をスローガンに,第2版を出版し,そして,このたび第3版の出版に至りました。 第3版では,平成24年の親権,後見に関する民法改正を反映しつつ,直近の再婚禁止期間に関する民法改正など,新たな法改正にも対応しました。更に「参の重 物語の箱」では,過酷な状況でも,親を思い,必死に頑張ろうとする子の視点を通して「親権とは何か」「後見とは何か」を問いかけるお話を一話追加し,巻末の「重箱の隅 味わいの箱」では,戸籍を通して「人の絆」を実感していただきたく,著者の実体験に基づき作成した新たな窓口事例を最終話として掲載しました。 実務的な知識はもちろんのこと,戸籍の人間的なぬくもりを皆さんに伝えることで,戸籍の魅力を感じていただければ幸いです。 そんな思いを込めて作り上げた本書ですが,まだまだ未熟であり,思わぬ誤りをおかしている点がないかと危惧しています。そのような箇所がありました第3版の刊行にあたって第3版の刊行にあたって
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