(試し読み)家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(第4版)
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章2遺産分割調停の運営の視点1 当事者の主張の振り分け 段階的進行モデルに沿った進行を効果的に行うためには,当事者から述べられる様々な主張あるいは言い分について,問題点を適切に振り分けるとともに,振り分けた主張を遺産分割の場面で現れる典型例に当てはめたうえ,当事者と調停委員会が認識を共有することが重要である。典型例への当てはめにより,協議すべき時期やその解決方法について納得のいく説明を行うことができるため,より実効性の高い段階的合意形成が可能である。代理人となる弁護士は,この振り分けを意識した主張の整理を行うように心掛け,また,代理人がいない場合は,調停委員会が中心となって当事者本人の主張やその思いについて振り分け作業を丁寧に行うことが必要である。68 第2章 遺産分割調停の運営の視点【当事者の主張の振り分けの例】① 遺産分割の前提問題に関する主張(詳細は後記2参照)ア 相続人の範囲についての主張イ 遺言書の効力又は解釈についての主張ウ 遺産分割協議の効力又は解釈についての主張エ 遺産の帰属に関する主張(被相続人の遺産か否か)② 遺産分割に関連する付随問題の主張(詳細は後記3参照)ア 使途不明金,遺産探しに関する問題イ 葬儀費用の問題ウ 相続開始後の遺産管理費用の問題エ 相続債務の整理・分担の問題オ 被相続人との共有持分の問題カ 同族会社の経営権をめぐる問題第第章

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