×M×BC4 配偶者居住権の設定に関わる調停運営とその内容について 被相続人の財産に属していた建物にその配偶者が居住していた場合は,一定の要件の下,配偶者居住権(民1028条)を取得することができる。建物自体の取得に代えて低廉な配偶者居住権を取得することで,その差額分を他の遺産取得に充てることができる制度であり,段階的進行モデルにおいては遺産の評価の段階や具体的分割方法の検討段階で顕在化することが考えられる(詳細は第12章参照)。⑴ 配偶者居住権設定のための要件 遺産分割の審判手続において配偶者居住権を設定するためには,共同相続人間において配偶者が配偶者居住権を取得することに合意している場合を除き,配偶者が配偶者居住権取得の申出をなし,かつ,居住建物の所有権を取得する相続人の不利益を考慮してもなお配偶者の生活維持に特段の必要性が認められる場合でなければならない(民1029条)。一旦配偶者居住権が設定されれば,設定された期間内において,建物を取得した相続人は,所有者としての法律上の責任を負いつつ,配偶者居住権の存続期間での処分の制限や,予期しない価格変動など,将来に向かって不利益を負い続ける可能性があるからである。このような建物所有者 被相続人A女は,前夫との間にB・Cの子があったが,Mと再婚していた。A女が死亡し,遺骨は喪主であるM家の墓に埋葬されていた。B・C・Mは,それぞれA女の遺骨を取得したいと希望する。どのように調停を進行させるか。4 配偶者居住権の設定に関わる調停運営とその内容について 91(前夫)①再婚②死亡A(被相続人)③A埋葬M家墓設例2−10【解 説】 調停においては,分骨について協議が行われることもある。 各人の意向を聴取し,誰が取得するのが相当かを協議することになる。付随問題⑨(遺骨)
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