(試し読み)家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(第4版)
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第4版 はしがき iiiは最低限にとどめつつ,新たな実務運用を中心に解説を加えた。 また,平成29年5月26日に成立し,同年6月2日公布された「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)により規定された意思能力,時効の完成猶予,債権の消滅時効等の項目について債権法の改正内容を説明した。 4 本書においては,令和3年法律第24号改正による施行後の条文を前提として各制度等を説明しているほか,附則による読み替えについても解説している。なお,相続財産管理人についても,附則4条を踏まえ,相続財産清算人(管理人)等と用語を用いた。 5 判例,裁判例に関しては,実務が固まった論点,判例変更・法改正を受け,射程が及ばなくなったものについては,本文において紹介するにとどめた。 そのほか,各章において,家事事件手続のIT化,数次相続間における相続分の放棄・譲渡と排除の関係,生命保険金・満期保険金の扱い,特別受益の成否の視点,家事調停事件への家庭裁判所調査官の関与,遺産の取得に関する主張整理例などにつき加筆,修正をし,遺産分割実務の理解をより深めていただく工夫をした。また,これまでと同様に,消費者物価指数,寄与分の介護報酬基準額に基づく身体介護報酬額等については最新年度の数値によった。 6 本書は,第12章において配偶者居住権を説明している。これは,配偶者居住権そのものは,遺産分割の対象となるものではなく,遺産の具体的な分割方法(第13章)の選択肢の一つとして新たに設定されるものであり,実務において配偶者居住権が問題となるのは,遺産の範囲・評価が確定し,特別受益等による具体的相続分の修正の検討を経た後に,配偶者の現実的相続分額が明らかとなり,金融資産の取得割合と関連づけてから,設定の有無の意向が定まる段階においてであろうとの考えに基づく。 なお,配偶者居住権が設定された後の配偶者と居住建物の所有者と

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