(試し読み)家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(第4版)
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章21特定財産承継遺言1 意 義 特定財産承継遺言とは,遺産の分割の方法の指定として特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言である(民1014条2項)。2 遺産分割の対象財産との関係 特定財産承継遺言がされているときは,直ちに当該相続人に相続により所有権が帰属することになるため,当該遺産は遺産分割の対象ではなくなる。3  534 第21章 特定財産承継遺言⑴ 問題点 ①特定遺産が法定相続分の割合を超える場合,②法定相続分の割合と同じ場合,③法定相続分の割合を下回る場合の3種類が考えられる。 このうち,②の法定相続分の割合と同じ場合には,相続分と現実に取得した遺産との間に過不足はないから,相続分の指定の有無は問題とならない。しかし,①及び③の場合については,問題がある。【留意点】 特定の相続人に対し財産の一定割合ないし全てを取得させる趣旨の遺言は,特定財産承継遺言には当たらず,相続分の指定と扱われる(民1046条1項括弧書き)。文言として,「相続させる」が用いられるとしても「相続分の指定」と扱われる。第第章特定財産承継遺言で特定相続人に取得させるとした特定遺産と法定相続分の割合の関係

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