入法
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6*1 駒井洋「戦前から戦後へ─特高警察的体質の保持」同監修加藤丈太郎編著『入管の解体と移民庁の創設 出入国在留管理から多文化共生への転換』明石書店2023年160頁社2008年242頁以下第1章 入管法と入管組織イツでは,学術の世界を含めて,ドイツ連邦共和国の外国人行政がナチス時代の帝国内務省やゲシュタポ的発想に支配されているとの主張を見聞きしたことはありません。⑴ 目的(保護法益) 現在存在するほとんどの国においては,外国人の出入国管理や国境管理に関する法令を定めています。その目的(保護法益)は一体何なのでしょうか。アメリカの判例の考え方によれば,まず,国家の政治体制そのものの維持・防衛しようという政策的要因,次に,社会・経済・犯罪取締まり政策的要因による市民生活の安寧秩序や福祉の増進など私的(経済・社会的)領域における個人の権利・自由を国家が守ろうとするもの,その次に,出入国在留管理行政(以下「入管行政」という。)を円滑に執行する保護法益,即ち,諸規定に違反した外国人を国外に追放する一方,*2大量に出入りする人の流れをできるだけ効率良く円滑に管理するための制度を整えておくことという3つの要素が複雑に絡み合っているものと考えられています。*2 新井信之『外国人の退去強制と合衆国憲法─国家主権の法理論─』有信堂高文 入管法も,このような考え方と類似の考え方を背景としており,その1条(目的)において,「本邦に入国し,又は本邦から出国する全ての人の出入国及び本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図ると共に,難民の認定手続を整備することを目的とする。」と定めています。具体的には,次のとおりです。ア 外国人の入国,在留,出国 外国人の入国,上陸,在留,出国,退去2 入管法の目的とそのあらまし

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