入法
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⑴ 概 要 退去強制とは,その国にとって好ましくない外国人を,その国の領域外に追放する処分です。 外国人の入国・在留を認めるかどうかは国家の自由裁量によって決定することができるとされていて,各国家には入国・在留を希望する外国人に対し,その入国・在留の許否を決定する権限がありますが,同時にその領域内に在留する外国人でその国家の国益を害する外国人(好ましくない外国人)に対してはその在留を否定し,国外に強制力を用いて追放する権限も認められています。 国家にとって好ましくない外国人とは,その国家及び国家の構成員である国民及びその生活に害を及ぼす外国人で,国際人権規約B規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)12条3項に定める「国の安全,公の秩序,公衆の健康若しくは道徳又は他の者の権利及び自由を保護するために必要であり……もの」がこれに該当するものと考えられます。 各国家にとって,どのような外国人の在留状態や活動が好ましくないかは,各国家が自ら判断し,決定することができますが,近代法治国家においては,これら好ましくない外国人を退去強制事由という形で法令の中に明示し,これらに該当する外国人に限って退去を強制することを内外に鮮明に示すこととしています。 入管法に定める退去強制事由に該当する者には,入国又は在留その者が不適法である在留外国人のほか,在留自体は適法ではあってもその国家に1731 退去強制のあらまし(退去強制対象者)第8章1 退去強制のあらまし(退去強制対象者)退去強制

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