入法
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人(容疑者(注))について違反調査をすることとされています(27条)。(注) 入管法では,退去強制事由に該当すると思料される外国人のことを「容疑者」と称します。刑事訴訟法などの刑事手続法においては,犯罪の嫌疑を受け捜査の対象となっているものの,いまだ公訴提起されていない者のことを「被疑者」といいます(刑事訴訟法199条以下。同法249条において公訴提起された者を「被告人」としています)。このように,退去強制手続と刑事手続とは用語の上においても区別されています。 入国警備官は,違反調査に当たっては,内偵,内査(注),公務所・公私の団体への照会(28条),容疑者本人の出頭を求めての取調べ(29条),証人の取調べ(30条),裁判官の発する令状に基づく臨検・捜索・押収(31条)などを行い,容疑事実を究明します。(注) 内偵及び内査とは,いずれも入管法上の用語ではなく,実務から生まれた用語です。いずれも退去強制事由に該当する容疑事実の有無を確認するための入国警備官の活動で,容疑者である外国人本人に悟られないようにしてその周辺で実施される調査活動を指します。強いて言えば,内査が本人との接触を伴い,内偵が伴わないという使い方などがあり得ますが,実務上の用語につき,両者の異同・区別は曖昧です。いずれの場合であっても強制処分を伴わない相手の明示又は黙示の同意・承諾があるか,又は相手の権利を侵害しない範囲内で行われる任意調査活動ですので,社会通念上許容され,公序良俗に反しないものでなければならないことは確かです。⑵ 違反調査関係の手続 入管法の違反調査に関する5章1節(27条から38条まで)も,2023(令和5)年入管法改正により,より詳細な規定が設けられた部分です。その改正の趣旨は,施行規則を始めとして運用上行われてきた証拠物件の扱いをその確保から手続に使用した後の対応までを順序立てて明文化し,一定程度追認するという色彩が濃いものであるところ,規定によっては,31条から31条の4のように技術の進展に合わせて電磁的記録及び電子計算機の差押え及びそれに代わる処分に関する手続を定めたものもあります。しかし,違第8章 退去強制180

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