入法
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181反調査という性質上,刑事訴訟法上の規定,特に,1編9章押収及び捜索(99条から127条中特に222条により準用される部分)及び2編1章捜査(189条から246条)の各種物件・記録及び一部捜索対象となる身体の扱いに関する規定の影響が色濃く見られるところです。しかし,本書において繰り返しているように,退去強制手続はあくまでも行政手続であって刑事手続ではなく,退去強制令書による収容は,刑事施設法と異なり,社会復帰ではなく送還を目的としていることから,これら改正後の入管法上の規定の適正な執行は,これらの規定をいかに以上のような性質を有する行政手続として運用していくかにかかっているものということができます。⑶ 違反調査終了の際の対応 入国警備官は,違反調査の結果,容疑者が退去強制事由のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは,主任審査官の発付する収容令書により容疑者を収容(身体を拘束)します。なお,「該当すると疑うに足りる相当の理由がある」という持って回った言い方をしているのは,容疑者が退去強制事由に該当するか否か,該当する場合に,退去を強制するか否かを決定するのは入国警備官ではなく,入国審査官,特別審理官又は法務大臣であるからなのです。この点に関しては,下記4(次頁)において詳しく説明します。 入国警備官は,容疑者を収容したときは,その容疑者の身体を拘束した時から48時間以内に,調書及び証拠物とともにその容疑者を入国審査官に引き渡さなければならないとされています(44条)。 なお,容疑者が自ら地方局に出頭し,退去強制事由に該当すると申告した場合も同様に違反調査が行われます。また,退去強制事由該当性に年齢制限はありませんので,乳幼児であっても退去強制事由に該当すれば,法形式上は同様の手続が採られることになります(運用上は全く異なります。)。 以上が入国警備官による違反調査の基本的措置ですが,入管法には次のような例外措置が定められています。 その1は,出国命令手続で,入国警備官が,違反調査の結果,容疑者が3 入国警備官による違反調査

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