入法
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183制令書が発付されないことがあることを前提としており,実際に,そのような事例も発生しています。そもそも退去強制令書が発付されないような事案においては,既に収容令書の段階においてある程度見極めを付け,その時点において収容令書の発付も回避するのが好ましいとはいえます。しかし,このような発想は,退去強制令書発付に至る違反審査,口頭審理,法務大臣の裁決及び在留特別許可をすべて違反調査の時点で先取りして行うことを意味するので,必ずしも適正手続の在り方として好ましい結果をもたらすとは限りません。任意の名の下に実質的な調査が行われ,法目的が潜脱されることにもつながりかねないということです。 ということで,入国警備官は,容疑者に対する違反調査の段階で,容疑者が退去強制事由に「該当すると疑うに足りる相当の理由があるとき」に主任審査官が発付(注)する収容令書により,容疑者を収容(身体を拘束)することができることになります(39条の2第2項,40条及び42条並びに施行規則35条)。(注) 興津征雄『行政法Ⅰ 行政法総論』新世社2023年252頁指摘のとおり,⑵ 要急収容 なお,入国警備官は,退去強制事由のいずれかに明らかに該当する者が収容令書の発付を待っていては逃亡のおそれがあると信ずるに足りる相当の理由があるとき(例えば,不法上陸している外国人を現認したとき)は,要急事件として,収容令書の発付を待たず,その者を収容することができるとされ,収容後速やかに主任審査官(主任審査官,特別審理官及び難民調査官を指定する訓令(平成31年4月1日出入国在留管理庁訓令第1号)1条及び別表)に収容令書の発付を請求しなければならないとされています(43条)。⑶ 収容の目的 入管法44条の4第1項の規定及び監理措置の取消しに関する44条の2第2項の規定からは,収容令書による収容の目的が,容疑者の逃亡,証拠隠「発布4」ではなく「発付4」です。4 収容令書による収容

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