新成年後見における死後の事務
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第1章1改正のポイント  民法873条の2が新たに規定され,成年被後見人が死亡した場合において,必要があるときは,成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き,相続人が相続財産を管理することができるに至るまで,裁判所の許可がなくても病院費用の支払が認められることになりました。ただし,あくまでもこれは後見類型にのみ認められた権限であること,そして支払のために預貯金から払戻しが必要な場合は裁判所の許可が必要です。49第 1 章 病院費用の支払 AはBの成年後見人です。Bは施設に入所していました。 Bには相続人はなく,他の親族も不明です。Bの財産は40万円ほどの預金だけです。債務はありませんでした。 Bには持病があったものの食欲も旺盛で,日々を元気に機嫌よく過ごしていました。しかし,ある朝突然,意識不明の状態になり,病院へ救急搬送されましたが,手当ての甲斐なく病院搬送後1時間ほどで亡くなりました。 Aが病院に駆けつけると既に死後の処置も終わっており,病院はAに,費用の精算をするように言いました。この日は休日で,Aは家庭裁判所に相談することもできず,病院に支払う費用は1万円未満だったので,事例1病院費用の支払

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