第3版 これだけは知っておきたい 公用文の書き方・用字用語例集
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3 正確性3 文書は、ひとたび外部に発出すると、文書施行者の意思いかんにかかわらず、文書上の表現を媒介として全く独立した存在となる。文書施行者の意思を間違いなく伝えるためには、文章は、正確でなければならない。 内容的には、根拠となる事実(データ)が正確であること、主題・論旨が文章全体を通してぶれていないことである。 また、表現的には、自明のこととして文章を簡単にまとめすぎたり、必要な要素(5W1H=いつ・誰が・どこで・何を・何のために・どのように)を落としたりしない。特に、文章の表記について、主語と述語の呼応関係、句読点や接続詞の使い方、修飾語の係りと受けの関係、中止法の多用に注意する。そのほか、同音異義・同訓異字の用語(例えば、係属(訴訟係属)・継続(継続審査)など)や送り仮名、仮名遣いの用法なども誤らないように注意する。 一方で、専門的な知識を持たない人に向けた文書では、厳密さを求めすぎず、伝えるべき情報を取捨選択することも重要である。 なお、文書を起案した直後は気持ちが高ぶり、客観的かつ冷静に起案したようでも、主観的な文章表現になっていたり、行政文書としては表現が適切でなかったりすることが多い。このため、文書を起案したときは、必ず冷却期間を置いて、冷静な目(第三者の目)で、その趣旨・内容に間違いがないか、その表現ぶりで読み手に正しく理解してもらえるか、不愉快な思いをさせないか等、推敲こうを重ねることが極めて重要である。第 1  文章表現の心得〔文章表現が不正確な例〕 遺言公正証書の案が確定した場合には、公証人は、遺言者が公証役場にお越しいただき、又は公証人が出張して、遺言公正証書を作成する日時について、当事者との間で打合せを行った上、確定します。 遺言公正証書の案が確定した場合には、公証人は、遺言者に公証役場にお越しいただき、あるいは公証人が遺言者のご自宅や病院等に出張して、当事者との間で打合せを行った上で、遺言公正証書を作成する日時を確定します。

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