第3版 これだけは知っておきたい 公用文の書き方・用字用語例集
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v 公務を円滑に遂行するためには、職員の起案能力、説明能力、調整能力の向上が欠かせません。とりわけ、昨今、行政の説明責任が強調される中にあって、正確な文章を書く能力は、公務員としての基本的な素養ともいえます。 「行政文書の管理方策に関するガイドラインについて」(平成12年2月25日各省庁事務連絡会議申合せ)では、「行政機関としての意思決定及び事務・事業の実績については、文書を作成することを原則とする。…(中略)…文書を作成するに当たっては、分かりやすい用字用語で、的確かつ簡潔に記載するものとする。」とされています。しかし、最近の各種の往復文書、挨拶文、通達、訓令等やそれらの起案文書をみると、意味のはっきりしない言い回しやまわりくどい表現をしているもの、送り仮名の振り方や接続詞、助詞などの使い方を誤っているもの、文章表現や文体が不統一であるものなどが極めて多く見受けられます。 文書は一旦発出されると、文書施行者(発信者)の意思いかんにかかわらず、文章表現を媒介として全く独立した存在となります。分かりにくい不正確な文書は、相手側(受信者)に内容が正確に伝わらないといったことはもちろんのこと、無用な誤解を与え、トラブルに発展することにもなりかねません。このため、公用文は、平易で、簡潔かつ正確に表現する必要があります。 ところで、公用文の書き方には一定のルールがありますが、職場で専門的な研修がされることはまれであり、また、手頃な手引もないことから、初めて公用文を作成する職員は、前任者の起案文書に倣って起案をするか、あるいはワードプロセッサで変換した漢字や送り仮名どおりに表現しているのが実情だろうと思われます。 本稿は、法令の改正や通達等の起案などを担当してきた経験(起案文書に手を入れられてきた苦い経験)を踏まえて、平成16年に初任者のための手引として取りまとめたものですが、平成22年11月に常用漢字表が改定されたことから、改めて内容等を見直したものです。併せて、本書には、「用字用語例集」と「外来語・外国語の取扱い用例集」(国立国語研究所の言い換え提案)を登載しました。「用字用語例集」には、使用する用字用語について、その表記が漢字か仮名か、送り仮名の振り方などのほか、より適切な表現を探る手掛かりとして類似語を、また、「外来語・外国語の取扱い用例集」には、外来語等の一般への定着度と日本語への言い換え提案を載せております。は じ め に

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