5_借契
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4第1編借地契約における各種特約の効力右認定事実によると,上告人らが本件土地を昭和24年11月より35年3月末日まで11年間にわたって適法に■用していたのであるが,本件土地の借地契約は当初A市内に散在していた露天商を一時整理収容するために市役所等のあっせんにより期間を1年とかぎって成立し,その後上告人らの申出によって期間をかぎって契約が■新された経緯,その後の■用の態様,合意の内容その他原判決の認定の事情のもとにおいては,本件土地の借地契約が一時■用の目的でなされた旨の原判決の判断を是認しえないわけではない。■最判昭和43年3月28日(民集22巻3号692頁,判時518号50頁,判タ221号125頁)■しかしながら,賃貸借契約が裁判上の和解により成立した一事をもって,右契約に同条〔借地法11条〕の適用がないとするのは相当ではなく,裁判上の和解により成立した賃貸借についても,その目的とされた土地の利用目的,地上■物の種類,設備,構造,賃貸期間等,諸般の事情を■慮し,賃貸借当事者間に短期間にかぎり賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる客観的合理的な理由が存する場合にかぎり,右賃貸借が借地法9条にいう一時■用の賃貸借に該当するものと解すべく,かかる賃貸借については,同法11条の適用はないと解するのが相当である。■最判昭和43年11月19日(判時545号61頁,判タ229号148頁)■本件■物は訴外Aが本件土地を被上告人から一時■用の目的で賃借した当時に■築した仮設■物であり,右■物を上告人が買い受けるとともに,同訴外人から本件土地の賃借権の譲渡を受けたが,この賃借権の譲渡については被上告人は承諾しなかった。その後,被上告人は,当時居住していた疎開先からB市に帰るについて,家屋の■築費用および長男の教育費等を捻出するため,上告人との間に,被上告人は,本件土地のうち,115.702平方メートル(35坪)を上告人に売り渡し,その余の部■を上告人は3年以内に被上告人に明け渡す旨の契約が成立したが,上告人は所定どおりに売買代金を支払わなかったため,被上告人によって売買契約は解除され,当事者間で本件土地の明渡の期日について話合いがされ,被上告人は5年以内に明け渡すことを求めたのに対し,上告人は7年間の猶予を希望し,いったん7年の猶予で明け渡すことに両者の間で合意ができたが,その後,上告人は期間の■長を申し入れ,被上告人もやむなくこれを了承し,ここに期間を10年とする賃貸借契約が締結されるに至った旨の原審の認定は,原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できないものではない。そして,右のような本件賃貸借契約締結の経緯に徴すれば,本件■物の外観がバラックとは認められず,上告人が本件■物において茶商を営み,そこを生活の本拠にしており,右10年の期間中に本件土地の賃料が逐次値上げされたとの事情を勘案しても,なお本件貨貸借契約は一時■用のためされたものと解するのが相当であるとの原審の判断は正当で,首肯できる。■

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