5_借契
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存続期間に関する特約第1存続期間に最判昭和44年7月31日(判時568号46頁,金判180号7頁)■もし右のような事実が認定されるとすれば,このように,土地賃貸借契約のさい,都市計画事業の施行による区画整理が予定され,賃貸人においてその実施後の土地を自ら■用する計画を有し,賃借人もこれを諒承し,地上に仮設■物のみを所有しうる一時■用のための賃貸借であることを■正証書に明記して,契約を締結した場合においては,一時■用目的による賃貸借をする合理的理由があり,借地法の規定の適用を潜脱する目的に出たものとはいえないから,一時■用のため借地権を設定したことが明らかな場合にあたるものと認めて妨げないものと解すべきであり,原判決の掲げる前示のような事実関係をもってしては,いまだこのように認めることを妨げるには足りないものというべきである。しかるに,原判決は,右事実関係を理由に,たやすく本件各賃貸借が一時■用のためのものとは認められないとして,上告人の請求を排斥しているのであって,ひっきょう,借地法9条の規定の解釈を誤り,経験則に反し,審理を尽さなかった違法があるものといわなければならない。■最判昭和45年3月12日(判時593号39頁)■そして,このような事実関係のもとにおいては,被上告人には,戦災後の緊急状態に即応した暫定的なものとして,短期間に限って本件土地を賃貸する合理的理由があったものということができ,賃借人側もその事情を諒承し,当時,その時日は確定していなかったにせよ遠からず終了することの予想されていた前記停止期間内に限って賃貸借をする旨の明示の合意をしたものであるから,本件賃貸借が借地法9条所定の一時■用のための賃貸借にあたると認めた原判決の判断は正当ということができる。右事実認定および判断に所論の違法はなく,論旨は採用することができない。■参■裁判例最判昭和47年2月10日(判時662号42頁,金判308号2頁)東京高判昭和49年11月12日(判時768号42頁)■而して,以上認定の事実によれば,被控訴人は控訴人の承諾を得ないで本件土地の賃借権を譲受けたものであって,控訴人に対抗し得べきなにらの権利を有するものではなく,また控訴人は被控訴人との間に借地契約を結ぶ意思がなく,却って本件土地の明渡を実現するために本件調停を申立てたものであるが,調停主任裁判官及び調停委員らの説得により,期間経過後は確実に本件土地を明渡して貰えるものと信じ,即時明渡の要求を譲歩して暫時の間被控訴人のために借地権を存続せしめることを承諾したものであって,控訴人としては右調停により被控訴人との間に通常の借地契約を締結する意思を有していなかったことが明らかというべきであるから,右調停の趣旨は,被控訴人のために借地法第9条の規定する一時■用のための借地権を設定したものと解するのが相当である。■参■裁判例名古屋地判昭和50年9月19日(判時809号77頁,判タ333号280頁)関する特約/一時■用であると判断事た例し等5第1

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