5_借契
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■新料支払特約の有効性と消費者契約法10条72第2編借家契約における各種特約の効力(■新料支払特約を有効とした事例)東京地判平成10年3月10日(判タ1009号264頁)■借家契約における■新料支払の特約については,その内容いかんによっては,借地借家法30条により無効となる場合はあり得るとしても,本件においては,■用目的は店舗・事務所であること,賃貸借の期間も5年であること,■新料の額も87万6200円であることからすると,■用目的及び賃貸借期間と比較してそれほど高額とはいえず,■新料の性質については見解が■かれるところではあるが,賃料の補充ないし異議権放棄の対価の性質を有すると解するのが相当であることも併せ■えると,本件における■新料の特約については,必ずしも不合理なものとはいえないというべきであるから,右特約は有効であると認めることができる。■東京地判平成17年10月26日(判例秘書L06033987)■このように本件■新特約は,■新料という負担はあるが,期間満了後の■用継続状況をもって,期間の定めのあった■物賃貸借契約が期間の定めのない賃貸借契約,すなわち,正当事由を必要とするものの,原則として解約の申入れから6か月で賃貸借契約が終了するという契約関係になることを防ぎ,控訴人に対し,2年間という契約期間は本件居室についての賃借権を確保するものであり,むしろ,本件■新特約は,上記の点において,控訴人の賃借人としての権利を実質的に強化するものであると評価できる。〔略〕これに本件■新特約に定める■新料の金額が1か月■の賃料相当額とされている点にかんがみても,本件■新特約が消費者契約法及除原因となりうるかどうかは,単にその■新料の支払がなくても法定■新がされたかどうかという事情のみならず,当該賃貸借成立後の当事者双方の事情,当該■新料の支払の合意が成立するに至った経緯その他諸般の事情を■合■量したうえ,具体的事実関係に即して判断されるべきものと解するのが相当である■と判示した。そして,平成23年7月15日,最高裁(金判1372号7頁)は,■新料について,■■新料は,賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり,その支払により賃借人は円満に物件の■用を継続することができることからすると,■新料は,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。■と判示した。ところで,■新料支払特約については,そもそも特約が有効かどうかについて見解が■かれており,さらに消費者契約法との関係でも有効か無効か見解が異なっている。消費者契約法10条に違反せず有効であるとする判例と,消費者契約法10条に違反し無効であるとする判例があるが,前述のとおり平成23年7月15日に最高裁の判決が示された。以下の判例は,消費者契約法が施行される(平成13年4月1日施行)以前と以後の判例である。

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