3専門家にも難しい学校問題 やや誤解を招くおそれのある表現ではあるが、教員目線での学校の危機管理は、研究途上の分野である。スクールロイヤーの役割に関して様々な見解4)があるのも、その現れといえる。 原因はいくつか考えられる。例えば、①教員の立ち位置が、学校設置者と子どもの板挟みであることが指摘できよう。学校設置者の側から見れば被用者・労働者という相手方であり、子どもの権利の側から見れば学校側の窓口として交渉の相手方になってしまう。そのため、54)神内聡『学校内弁護士 学校現場のための教育紛争対策ガイドブック〔第2版〕』(日本加除出版、2019)25頁かけない方向に話が向かうことがある。相手方が穏便に済ませようという気がある限りにおいては、学校側は、自分たちの落ち度があったことを謝罪し、相手方は、その謝罪を学校側の誠意ある態度と受け止めて、円満に終わる可能性がある。しかし、相手方にそのような気がない場合、学校側が最初から法的責任を認めているかのような前提での話し合いになってしまう。 法的責任を認めて謝罪をする場合と、法的責任はないものの、道義的責任から「今回を教訓に、今後、改善をしていきます。」という中での謝罪とは、大きく状況を異にするので気を付けたい。第1 学校が直面する課題法的責任道義的責任
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