75)教員の現場目線で法律問題について述べるものとして、現役教員弁護士である神内聡『スクールロイヤー 学校現場の事例で学ぶ教育紛争実務Q&A170』(日本加除出版、2018)や弁護士と教員の対話形式で事例検討を行う鬼澤秀昌・篠原一生『教員×弁護士 対話で解決 いじめから子どもを守る』(エイデル研究所、2021)がある。また法律家の書いた教員目線を意識した書籍として近畿弁護士会連合会民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会編『事例解説 教育対象暴力─教育現場でのクレーム対応─』(ぎょうせい、2015)がある。依頼者に教わらなければならないことの方が多い。弁護士のスキルアップは、依頼者に負うところが大きいとさえいえよう。 その点から言えば、学校現場では、問題を抱えたときに、ちょっと顧問弁護士に教えてもらおうと思うほどに法律家との距離は近くないので依頼者に教わる機会に乏しいのが現状である。 以上のような、様々な要因により、学校現場に精通した弁護士が育ちにくく、学校現場の専門家は、まだ養成途上である。そのため、学校現場としては、専門家の助言であるからといって、鵜呑みにはできない現状がある。かといって学校現場の教職員の感覚も、こと法律問題については適切とは言いがたい状況にある。 以上のような問題意識の下、我々法律家も、これまでの紛争解決例について、その判断が適切であったか検証すると同時に、学校現場と法律家で、きちんとした意見交換をして、学校現場の課題について、研究を積み重ねていく必要がある。5)第1 学校が直面する課題
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